個人・小規模事業者のための著作権譲渡契約入門
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なお、特許・商標等の出願代理や特許庁への手続代理は弁理士の専門業務となるため、必要に応じて信頼できる専門家との連携・橋渡しを行っています。
こんにちは!
当事務所では、個人事業主や小規模事業者の皆さまの知財(知的財産)に関するお悩みをサポートしています。
私自身も学びを続けながら、「ちょっと難しいけれど、全然できなくもない!」を合言葉に、皆さんと一緒に学んでいけるブログを目指しています。
今回は、著作権シリーズ第3回として、「著作権譲渡契約」について、よくある失敗例や契約書に入れておくべき重要なポイントをわかりやすくご紹介します。
外注した制作物の著作権は誰のもの?
たとえば、あなたが次のような制作物を外注したとします。
・お店のロゴ
・パンフレットのデザイン
・商品紹介のブログ記事
・動画編集やナレーションの収録
この場合の著作権は、発注者であるあなたのものでしょうか。
それとも、実際に制作した外注先のものでしょうか。
著作権法では、このような「創作されたもの(著作物)」は、基本的に作った人(制作者)に発生します。
つまり、あなたがお金を払って依頼したとしても、契約で定めていなければ、自動的に著作権まで取得できるわけではありません。
ここは、個人事業主や小規模事業者の方が誤解しやすいポイントの一つです。
たとえば、
「ホームページ制作費を払ったから自由に使えると思っていた」
「ロゴを依頼したので、当然自分の会社のものだと思っていた」
というケースは、実際によくあります。
しかし、著作権の帰属や利用範囲が曖昧なままだと、後から
「別用途には使えません」
「改変は認めていません」
といったトラブルになることもあります。
そのため、外注時には、著作権の取り扱いを事前に確認し、必要に応じて「著作権譲渡契約書」を作成しておくことが大切です。
著作者人格権とは?
著作権とは別に、著作者には「著作者人格権」という権利があります。
これは、作品に対する著作者の人格的な利益を守るための権利であり、著作権とは違って譲渡することができません。
たとえ制作費を支払っていても、契約で整理していなければ、発注者が自由に改変・編集できない場合があります。
主に以下の3つがあります。
・氏名表示権
名前を表示するかしないかを決める権利
・同一性保持権
作品を勝手に変えられない権利
・公表権
いつ、どのように作品を公開するかを決める権利
特に、ホームページ文章の修正、ロゴの加工、イラストの色変更などは、「同一性保持権」と関係することがあります。
そのため、外注時には、
「どこまで修正できるのか」
「どの範囲で利用できるのか」
を、契約で整理しておくことが大切です。
著作権契約でよくあるトラブル3選
「制作費を払ったのだから、自由に使えるはず」
そう思ってしまう方は少なくありません。
しかし、著作権の取り扱いを事前に整理していないと、後から利用範囲や修正方法をめぐってトラブルになることがあります。
特に、ロゴ・記事・イラスト・ホームページ制作などは、後から修正や再利用をする場面も多いため注意が必要です。
ここでは、実際によくあるケースを3つご紹介します。
① ロゴが自由に使えない!
Aさんは、SNSや広告に使うロゴを外注しました。
納品後、そのロゴを看板やTシャツにも使おうとしたところ、
「著作権は譲渡していません。契約した用途以外には使えません」
とデザイナーから言われてしまいました。
制作費を支払っていても、契約で利用範囲を定めていなければ、自由に使えない場合があります。
② 記事を勝手に編集できない!?
Bさんは、ブログ記事をライターに依頼しました。
納品後、内容を自社向けに調整しようとしたところ、
「無断で大きく内容を変えないでください」
と指摘されてしまいました。
著作物には、単なる“利用”だけでなく、「どこまで改変できるか」という問題もあります。
契約で編集・改変について決めていないと、後から認識の違いが生じることがあります。
③ イラストの利用範囲でモメた…
Cさんは、チラシ用にイラストを発注しました。
後から「Web広告にも使いたい」と伝えたところ、
「契約にない用途には使えません」
と断られてしまいました。
著作権では、「どの媒体で利用できるか」も重要です。
紙だけなのか、SNSも含むのか、広告利用まで可能なのかを、契約時に整理しておくことが大切です。
トラブルを防ぐ契約のポイント
こうしたトラブルを防ぐには、制作を依頼する際に、著作権の取り扱いを事前に確認し、契約書を交わしておくことが大切です。
特に、ロゴ・ホームページ・記事・イラストなどは、後から修正や再利用をする場面も多くあります。
そのため、
「誰が著作権を持つのか」
「どこまで利用できるのか」
「修正や加工は可能なのか」
を、あらかじめ整理しておくことが重要です。
特に次の3つのポイントを押さえておきましょう。
1. 著作権の譲渡を明記する
「著作物の著作権を発注者に譲渡する」と、契約書に明確に書くことが重要です。
口頭だけのやり取りでは、後から「そこまで認めたつもりはない」と認識違いになることがあります。
契約で明確にしておくことで、発注者側も安心して利用しやすくなります。
2. 翻案権・翻訳権も譲渡対象に
日本の著作権法では、「翻案(=改変)」や翻訳などの権利は特に重要とされています。
そのため、「著作権を譲渡する」とだけ書いても、27条・28条の権利までは含まれない場合があります。
たとえば、
・ロゴの色を変更する
・記事を加筆修正する
・イラストを加工してSNS用に使用する
といったケースです。
後から「そこまでは認めていない」とトラブルにならないよう、契約では「著作権法第27条・第28条を含む」と記載しておくと安心です。
3. 著作者人格権についての取り扱い
著作権とは別に、著作者には「著作者人格権」という人格に関する権利があります。
これは譲渡できないため、契約でどのように扱うかを整理しておくことが重要です。
特に、ホームページ文章の修正や、デザイン変更などを行う可能性がある場合は注意が必要です。
発注者が後からスムーズに利用・編集できるよう、契約で一定範囲の改変について合意しておくと、双方にとって安心につながります。
著作者人格権は契約でどう整理する?
著作者人格権は譲渡できないため、契約では「どこまで改変・利用できるか」を整理しておくことが大切です。
ただし、発注者側の使いやすさだけを優先すると、著作者側にとって不利益になる場合もあります。
そのため、実務では、
「事業上必要な範囲では利用・改変を認める」
一方で、
「著作者の名誉や信用には配慮する」
という形で、双方のバランスを取ることが多くあります。
たとえば、次のような条項です。
【契約例】
著作者は、発注者が本著作物を事業遂行上合理的な範囲で改変・編集・利用する場合においては、著作者人格権を行使しないものとする。
発注者は、著作者の名誉・声望を毀損しないように本著作物を利用するものとする。
このように整理しておくことで、発注者は後から利用・修正しやすくなり、著作者側も必要な保護を受けやすくなります。
まとめ
著作物を外注する際、「納品されたから自由に使える」と考えてしまう方は少なくありません。
しかし、著作権は原則として制作者に発生するため、契約で整理しておかなければ、後から利用範囲や改変方法をめぐってトラブルになることがあります。
特に、著作権の譲渡を明記すること、著作権法27条・28条の権利を含めること、そして著作者人格権について事前に整理しておくことは、とても重要です。
ロゴやホームページ、記事、イラストなどは、後から修正や再利用をする場面も多いため、「どこまで利用できるのか」を契約で明確にしておくことで、発注者・制作者の双方が安心して制作物を活用しやすくなります。
私自身も学びを続けながら、「知らなかった」で困る方を少しでも減らせるよう、これからも知財をわかりやすく発信していきたいと思っています。
知財をもっと身近に。もっと味方に。
📚過去記事
・第1回:著作権の実名登録とは?第一発行年月日との違いも初心者向けに解説!
・第2回:プログラム著作物の著作権管理と創作日の登録が重要な理由
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