映画の著作権は誰のもの?監督・制作会社・原作者の権利関係をわかりやすく解説

映画撮影スタジオでカメラ、照明、監督椅子、スタッフが配置され、映画制作現場の様子を表した写真

映画には、多くの人が関わっています。監督、脚本家、撮影スタッフ、美術スタッフ、音楽担当、制作会社など、ひとつの作品が完成するまでには数多くの役割があります。

映画のエンドロールやポスターの隅に、「製作:〇〇製作委員会」や「©〇〇」といった表記を見たことはありませんか。

「これって誰のこと?」「監督や原作者の名前ではないのはなぜ?」と、疑問に思ったことがある方もいるかもしれません。

では、その映画の著作者は誰になるのでしょうか。監督でしょうか。脚本家でしょうか。それとも制作会社でしょうか。

映画の著作物には、一般の文章や写真とは少し異なる特別なルールがあります。今回は、映画の著作権と著作者について、できるだけわかりやすく整理していきます。

「映画」だけじゃない?アニメやドラマも「映画の著作物」

映画と聞くと、映画館で上映される作品を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、著作権法上の「映画の著作物」は、もっと広い意味で使われています。

たとえば、アニメ作品、ドラマ作品、記録映像、一定の配信作品なども、内容や表現方法によっては「映画の著作物」に該当することがあります。

映像、音声、演出、編集、構成などが組み合わさって表現される作品は、創作性の高い著作物として保護されるのです。

映画の「本当の作者(著作者)」は誰?

著作権法16条では、映画の著作物の著作者について、制作、監督、演出、撮影、美術などを担当し、その映画全体の形成に創作的に寄与した者としています。

つまり、映画は一人だけで完成する作品ではなく、多くの創作者の共同作業によって成り立つ作品です。そのため、複数の人が著作者となる場合があります。

たとえば、監督が作品全体の表現方針を決め、撮影担当が映像表現を作り上げ、美術担当が独自の世界観を構築するなど、作品全体に創作的な影響を与えていれば、著作者として評価される可能性があります。

逆に、単に監督の指示どおりにカメラを回したり、大道具を配置したりしただけでは、創作的な判断を伴わないため、「著作者」とは認められないケースもあります。

「原作」と「映画」は別物?原作者・脚本家の権利

有名小説を映画化した場合、「原作者が映画の著作者なのでは」と思われることがあります。しかし、ここは分けて考える必要があります。

原作小説には、原作小説としての著作権があります。一方、映画作品には、映画作品としての著作権があります。

つまり、原作と映画は同じではなく、別の著作物です。映画は原作をもとに制作されることが多いため、法律上は二次的著作物として扱われる場面もあります。

脚本についても同様です。脚本そのものには脚本の著作権があり、その脚本をもとに制作された映画には、別途映画としての権利関係が生じます。

そのため、映画の利用場面では、映画側の権利だけでなく、原作側の権利処理が必要になることもあります。

なぜ?著作権が「制作会社」のものになる理由(映画特有のルール)

通常、著作物の著作権は、著作者(作った人)に帰属するのが原則です。

しかし映画は、多額の資金、多数のスタッフ、長期間の制作、流通管理などが必要となります。もし、関わった全ての共同著作者に著作権があると、映画を上映したり、DVD化したり、配信したりするたびに、全員の許可が必要となり、ビジネスとして非常に不便です。

そのため、著作権法29条では、一定の場合に映画の著作権が映画製作者(制作会社など)に帰属するという特別なルールを設けています。

ここで、映画のポスターやエンドロールを思い出してみてください。「〇〇製作委員会」「©〇〇製作委員会」といった表記を見かけることはありませんか?

これは、複数の企業が共同で出資し、制作・宣伝・配給・権利管理などを行う、現在の映画業界の仕組み(製作委員会方式)を反映したものです。

たとえば、映画会社、テレビ局、出版社、広告会社、配信事業者などが参加し、作品の収益やリスクを分け合いながら映画を支えるケースも少なくありません。

その結果、映画では「誰が創作したか」と「誰が著作権を持つか」が一致しないケースが生まれます。

汗を流して作品を作り上げる人(監督など)と、資金を出し、事業として作品を管理・流通させる人(制作会社等)で、役割に応じて権利が分かれると考えるとイメージしやすいでしょう。

よくある誤解

映画の著作権については、「監督がすべての権利を持っている」「原作者が映画の権利も当然に持っている」「制作会社が関わっていれば何でも自由にできる」といった誤解が生じやすいところです。

しかし実際には、原作、脚本、映画本体、音楽、出演契約、配信や上映の契約など、さまざまな権利関係が重なっています。

そのため、映画を利用する場合には、単に「映画だから制作会社に聞けばよい」と単純に考えるのではなく、どの権利を、どの範囲で利用するのかを確認することが大切です。

まとめ

映画の著作物は、多くの人の創作活動によって成り立つ、少し特殊な著作物です。

著作者となるのは、監督・演出・撮影・美術など、映画全体の形成に創作的に寄与した人たちです。一方で、著作権そのものは制作会社など映画製作者に帰属する場合があります。

映画をめぐる権利関係は、「誰が作ったか」と「誰が権利を持つか」を分けて考えることが大切です。

昨今、動画配信、SNS投稿、切り抜き動画、リメイクなど、映像利用は私たちの生活にとても身近になっています。

悪気なく行った投稿が、実は映画の著作権を侵害していた、というトラブルを避けるためにも、映画の著作権の基本を知っておく意味は大きいといえるでしょう。

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