認定新規就農者制度とは?青年等就農計画と支援制度を解説
前回は、農業を始めるための心構えについてご紹介しました。
農業は自然を相手にする仕事であり、長く続けていくためには、栽培技術だけでなく、経営者としての視点も大切になります。
しかし、実際に農業を始めようと思っても、
「何から準備すればよいのだろう?」
「農地や農業機械はどのように確保するの?」
「資金面や就農後の経営が心配……」
と、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そのような新規就農者を支える制度の一つが、「認定新規就農者制度」です。
今回は、認定新規就農者制度の対象者や申請の流れ、認定を受けることで利用できる主な支援制度、行政書士がお手伝いできることについて、初めての方にも分かりやすくご紹介します。
📖目次
認定新規就農者制度とは?
認定新規就農者制度とは、新たに農業を始める方が作成する「青年等就農計画」を市町村が認定し、その計画に沿って農業を営む認定新規就農者に対して、重点的な支援を行う制度です。
新規就農者を地域農業の担い手として育成し、就農から農業経営の改善・発展までを継続して支援することを目的としています。
認定を受けること自体がゴールではありません。
自分が目指す農業経営を具体的に考え、その実現に向けて計画的に農業を始めることが、この制度の大切な目的です。
どのような方が対象になるの?
「青年等就農計画」という名称から、若い方だけを対象とした制度と思われるかもしれません。
認定新規就農者制度の対象となるのは、その市町村の区域内で新たに農業経営を始めようとする方で、主に次のいずれかに該当する方です。
- 原則として18歳以上45歳未満の青年
- 農業経営に活用できる一定の知識や技能を有する65歳未満の方
- 上記の方が役員の過半数を占める法人
すでに農業経営を始めている場合でも、経営開始から5年以内であれば対象となる場合があります。ただし、すでに認定農業者となっている方は対象に含まれません。
年齢要件に注意しましょう
認定新規就農者制度の対象要件と、経営開始資金など個別の支援制度の要件は同じとは限りません。認定を受けた場合でも、すべての支援制度を利用できるとは限らないため、それぞれの要件を確認する必要があります。
青年等就農計画とは?
認定新規就農者になるためには、「青年等就農計画認定申請書」を作成し、農業経営を行う市町村へ提出します。
青年等就農計画は、単に氏名や住所を記入する申請書ではありません。
計画には、主に次のような内容を記載します。
- 就農する地域や就農形態
- 目標とする営農類型
- 将来の農業経営の構想
- 作付面積、飼養頭数、生産量などの目標
- 農地の所有・借入れの状況
- 農業用機械や施設の導入計画
- 農業所得や年間労働時間の現状と目標
- 農業経営を始めるための資金計画
- 農業技術や経営知識を習得するための研修計画
目標として記載するのは、原則として農業経営を始めてからおおむね5年後の経営内容です。
言い換えれば、青年等就農計画は、「5年後にどのような農業経営を実現したいか」を具体的に示す設計図のようなものです。
何を生産するのかだけでなく、どれくらいの規模で生産し、どのような機械や施設を導入し、どの程度の所得を目指すのかまで整理する必要があります。
そのため、農業を始める方が初めて申請書を見たときには、「自分一人で作成できるのだろうか」と戸惑うこともあるでしょう。
申請書を作る前に相談することが大切
農林水産省は、青年等就農計画の申請様式を作成する前に、都道府県の普及指導センターや、認定を行う市町村などへ相談するよう案内しています。
青年等就農計画には、農業技術、作付面積、生産量、農業所得、労働時間、設備投資、資金調達など、さまざまな内容を盛り込む必要があります。
新たに農業を始める方が、これらをすべて一人で判断し、計画としてまとめることは簡単ではありません。
地域に適した作物や栽培方法、生産量の見込みなど、農業技術に関する内容については、普及指導センターや市町村、JAなどの助言を受けながら検討することが大切です。
認定新規就農者制度は、申請者が一人で書類を完成させるというよりも、関係機関に相談しながら、実現可能な就農計画を作り上げていく制度と考えると分かりやすいでしょう。
認定されると利用できる主な支援制度
青年等就農計画が市町村に認定され、認定新規就農者になると、一定の要件を満たすことで、新規就農者向けの支援制度を利用できる場合があります。
経営開始資金
経営開始資金は、就農直後の経営を支えるための資金です。
就農直後は、農産物の売上が安定するまでに時間がかかる一方で、農地の賃借料、農業資材費、機械の購入費など、さまざまな費用が必要になります。
経営開始資金は、一定の要件を満たす新規就農者に対して、就農初期の所得確保を支援する制度です。
経営発展支援事業
経営発展支援事業は、新規就農者が就農後に農業経営を発展させるために行う、農業用機械や施設の導入などを支援する事業です。
トラクターなどの農業用機械、農業用ハウス、選果・出荷に必要な設備など、経営を始める際の初期投資が対象となる場合があります。
新規就農者チャレンジ事業
新規就農者チャレンジ事業は、地域農業の構造転換に向けて、新規就農者が早期に経営を発展させるために必要な農業用機械や施設の導入などを支援する事業です。
青年等就農資金
青年等就農資金は、認定新規就農者が農業経営を始めるために必要な資金を、日本政策金融公庫から無利子で借り入れることができる制度です。
農業用機械や施設の取得、家畜の購入、果樹や茶などの植栽、農地の改良などに必要な資金が対象となる場合があります。
支援制度には、それぞれ年齢、就農形態、所得、地域計画への位置付け、自己負担などの要件があります。また、制度の内容は年度によって変更されることがあります。認定新規就農者になれば、すべての支援を自動的に受けられるわけではない点に注意が必要です。
行政書士がお手伝いできること
青年等就農計画は、将来の農業経営を見据えて作成する大切な計画書です。
一方で、申請書には、営農類型、経営規模、農業所得、年間労働時間、農業用機械・施設、資金調達など、多くの項目があります。
初めて農業を始める方にとっては、関係機関から助言を受けた内容を、どのように整理して計画書へ落とし込めばよいのか分からないこともあるでしょう。
行政書士は、申請者から将来の経営構想や準備状況を丁寧に伺い、関係機関との相談内容を踏まえながら、青年等就農計画認定申請書の作成や必要書類の整理をお手伝いすることができます。
例えば、次のような支援が考えられます。
- 認定新規就農者制度や申請手続きの整理
- 青年等就農計画認定申請書の作成支援
- 申請に必要な資料や添付書類の整理
- 農地の取得・賃借に伴う農地法上の手続き
- 農業法人を設立する場合の定款や法人設立手続き
- 就農に関連する許認可や支援制度の整理
ただし、栽培方法、品種の選定、収量の予測など、農業技術に関する専門的な判断については、普及指導センターや市町村、JAなどの関係機関と連携して進める必要があります。
行政書士だけですべてを決めるのではなく、それぞれの専門機関の役割を生かしながら、申請者の考えや目標を実現可能な計画として形にしていくことが大切です。
「どこへ相談すればよいのか分からない」
「関係機関に相談したけれど、申請書にまとめるのが難しい」
「農地の手続きも含めて整理したい」
そのような場合には、行政書士へ相談することも一つの方法です。
まとめ
認定新規就農者制度は、新たに農業を始める方が青年等就農計画を作成し、市町村の認定を受けることで、就農後の経営確立に向けた支援を受けられる制度です。
青年等就農計画には、5年後に目指す農業経営の姿をはじめ、作付面積、生産量、所得、労働時間、機械や施設、資金調達などを具体的に記載します。
その内容は多岐にわたり、初めて就農する方が一人で作成することは簡単ではありません。
まずは市町村や普及指導センターなどへ相談し、農業技術や地域の状況について助言を受けながら、計画を具体化していくことが大切です。
そのうえで、関係機関から得た情報や申請者の考えを整理し、青年等就農計画としてまとめる場面では、行政書士がお手伝いできることもあります。
農業を始めることは、大きな挑戦です。
利用できる制度や専門家の支援を上手に活用しながら、一つずつ準備を進めることが、長く続けられる農業経営への第一歩になるのではないでしょうか。
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