【著作権の基礎シリーズ:第1回】著作権にはどんな権利があるの?

昨年は「著作権シリーズ」として、少し専門的な内容も交えながらお伝えしてきました。
今年は、もっともっと基礎から、読んでくださる方と一緒に“著作権の土台”をゆっくり積み上げていくシリーズを始めたいと思います。
第1回のテーマは、「著作権にはどんな権利があるの?」です。

著作権は、日常生活や仕事の中で、知らないうちに関わっていることの多いルールです。
まずは、むずかしい条文の前に、「どんな種類の権利があるのか」という全体像から、一緒に見ていきましょう。

目次

  1. 著作権には大きく2つの権利がある
  2. 著作者人格権とは(作者の気持ちを守る権利)
    1. 公表権
    2. 氏名表示権
    3. 同一性保持権
  3. 著作権(財産権)とは(経済的な利益を守る権利)
  4. 今日のまとめ

著作権には大きく2つの権利がある

著作権には、いくつかの権利が含まれていますが、まずは大きなグループを知っておくと整理しやすくなります。
著作権は、大きく分けると次の2つのグループに分かれます。

  • 著作者人格権:人格的な利益(作者の気持ちや名誉)を守る権利
  • 著作権(財産権):作品を使って経済的な利益を得るための権利

今回は、まずこの2つのグループの意味と、そこに含まれる代表的な権利を、むずかしい言葉はなるべく使わずに見ていきたいと思います。


著作者人格権とは(作者の気持ちを守る権利)

著作者人格権は、作品をつくった人の「気持ち」「名誉」「思い」を守るための権利です。
この権利は、著作者本人だけが持っていて、譲ったり相続したりすることはできません。

代表的なものとして、次の3つがあります。

1.公表権

自分の著作物を、公表するかしないか、公表するとしたらいつ・どのような方法で公表するのかを決めることができる権利です。

ニュースなどで、「亡くなった画家のアトリエから未発表の作品が見つかりました」といった報道を目にすることがあります。
本来、その作品を世の中に出すかどうかを決めるのは、その作品をつくった本人です。
この「発表する・しないを決める権利」が、公表権にあたります。

2.氏名表示権

自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかどうか、表示するとすれば本名か、ペンネームなどの別名かを決めることができる権利です。

たとえば、小説家がペンネームで作品を発表したり、イラストレーターが本名ではなくハンドルネームで活動したりするのは、この権利に基づきます。
また、あえて「無記名」にして名前を出さない、という選択もできます。

3.同一性保持権

自分の著作物の内容やタイトルを、自分の意に反して勝手に変更されたり、削られたりしないようにする権利です。

たとえば、ある小説の一部分だけを勝手に削って出版したり、絵画の色合いを変更して展示したりすると、作者の意図した作品とは違ったものになってしまいます。
このような、作者の意図に反する改変から作品を守るのが、同一性保持権です。

著作権(財産権)とは(経済的な利益を守る権利)

次に、著作権(財産権)について見ていきます。
こちらは、作品を使ってお金を得ることができる、いわば経済的な側面を守るための権利です。

著作者人格権と違い、著作権(財産権)は、譲渡(売ったり譲ったりすること)や相続ができます。
そのため、ビジネスや契約の場面では、この著作権(財産権)がよく登場します。

財産権は、さらに細かく次のような権利に分かれています。

  • 複製権
  • 上演権・演奏権
  • 上映権
  • 公衆送信権・公の伝達権
  • 口述権
  • 展示権
  • 頒布権
  • 譲渡権
  • 貸与権
  • 翻訳権・翻案権 等
  • 二次的著作物の利用権

「こんなにたくさんあるの?」と感じられるかもしれませんが、今の段階では、全部を覚える必要はありません。
まずは、「著作権(財産権)の中には、作品のコピー・上映・ネット配信・翻訳など、いろいろな使い方ごとに権利が分かれているんだな」というイメージだけ持っていただければ大丈夫です。

このシリーズでは、次回以降、複製権・上演権・公衆送信権などを、1つずつ、日常の事例を交えながら、ゆっくり掘り下げていく予定です。

今日のまとめ

  • 著作権には大きく2つのグループがある。
    • 著作者人格権:作者の気持ちや名誉を守る権利
    • 著作権(財産権):作品の利用を通じて経済的な利益を得る権利
  • 著作者人格権には、「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」などがある。
  • 著作権(財産権)は、コピー、上演、上映、ネット配信、翻訳など、具体的な利用の仕方ごとに細かく分かれている。

今回は、著作権の「全体像」を、できるだけやさしくお伝えしました。
次回からは、複製権など、身近な場面でも関わりやすい権利を一つずつ取り上げていきます。
「これはやっても大丈夫?」「ここは気をつけた方がいい?」といった疑問に、少しずつお答えしていけたらと思います。

・第1回:「著作権の実名登録と第一発行年月日登録って何?」初心者にもわかりやすく解説します!

・第2回:プログラム著作権の著作権管理と創作日の登録が重要な理由

・第3回:個人・小規模事業者のための著作権譲渡契約入門

・第4回:これ、使っていいのかな?――著作者がわからない作品と著作権の話

・第5回:ネットにあるもの、勝手に使ってもいいの?~画像・文章・音楽などの取り扱い注意ポイント~

・第6回:自分の作品が勝手に使われた!そんなときどうすれば?

・第7回:お客さんとやりとりするときに気をつけたい、著作権と契約の話

・第8回:著作権フリー?パブリックドメイン? よく聞く言葉をやさしく解説

・第9回:著作隣接権ってなに?画像・音楽・演奏…使う前に知っておきたい注意点

・第10回:これだけは押さえたい!著作権と上手に付き合うための10のルール

・第11回(番外編):新聞記事を社内で共有してもOK?初心者にもやさしく解説!

・著作権シリーズ第12回(おまけ編):え、動物にも著作権?知られざる著作権トラブルを解説!

🔗外部リンク

著作権について、より詳しく知りたい方向けの外部サイトです。

文化庁:著作権Q&A

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