ネット画像は本当に使って大丈夫?著作権トラブルを防ぐ基本ルール
当事務所では、個人事業主や小規模事業者の皆さまの知財(知的財産)に関するお悩みをサポートしています。
また、知的財産の基本的な考え方や、ビジネスへの活かし方についての情報発信・ご相談対応にも取り組んでいます。
なお、特許・商標等の出願代理や特許庁への手続代理は弁理士の専門業務となるため、必要に応じて信頼できる専門家との連携・橋渡しを行っています。
ホームページ、ブログ、SNS、チラシ、セミナー資料など、事業を行ううえで画像や文章を使う場面はとても多くなっています。
インターネットで検索すれば、きれいな写真や分かりやすいイラスト、便利な文章がすぐに見つかります。
ただ、その便利さの一方で、著作権トラブルのリスクも身近になっています。
「ネットに出ていたから使ってよいと思った」
「出典を書けば大丈夫だと思っていた」
「無料素材だから、自由に使えると思っていた」
こうした思い込みから、削除依頼や損害賠償請求、取引先との信用低下につながることもあります。
今回は、著作権シリーズ第5回として、ネット上の画像や文章、フリー素材を利用するときに知っておきたい基本ルールを、できるだけ分かりやすく整理します。
特に、小規模事業者や個人事業主の方が、日々の情報発信で注意しておきたいポイントを中心に解説します。
📖目次
1. ネットにあるものは自由に使える?
まず押さえておきたいのは、「インターネット上に公開されていること」と「自由に利用できること」は別だという点です。
Google検索で見つけた画像、SNSで流れてきたイラスト、誰かのブログに掲載されていた文章なども、創作性があるものであれば著作物として保護される可能性があります。
著作権は、原則として作品が作られた時点で発生します。
特許や商標のように、登録しなければ権利が発生しないものとは異なり、写真を撮ったり、文章を書いたり、イラストを描いたりした時点で、著作権が発生することがあります。
そのため、他人が作った画像や文章を利用する場合には、原則として権利者の許可が必要になります。
ここで注意したいのは、「見ることができる状態」と「利用してよい状態」は違うということです。
たとえば、お店のホームページに掲載されている写真は、誰でも閲覧できます。しかし、それはそのお店が自分のホームページで使うために掲載しているものであり、第三者が自由に保存して、自分のブログやチラシに使ってよいという意味ではありません。
SNSの投稿も同じです。
公開アカウントに投稿されている写真や文章であっても、それを自分の事業用アカウントやホームページに転載してよいわけではありません。
もちろん、著作権法には「引用」など、一定の条件を満たせば許可なく利用できる例外もあります。
しかし、その例外に当たるかどうかは、利用の目的や方法、分量、表示の仕方などを見て判断する必要があります。
つまり、「ネットにあったから」「みんな使っているから」「出典を書いたから」という理由だけでは、安全とはいえません。
2. 著作権トラブルが起きやすい3つの誤解
著作権トラブルの多くは、悪意よりも思い込みから発生します。
特に、ブログやSNSを自分で運営している小規模事業者の場合、次のような誤解には注意が必要です。
誤解1:「出典を書けば大丈夫」
「出典を書いているから問題ない」と考える方は少なくありません。
しかし、出典を明記することと、著作物を自由に使えることは別の問題です。
著作権法上の「引用」として認められるためには、単に出典を書くだけでは足りません。
引用する必要性があること、自分の文章が中心であること、引用部分が明確に区別されていること、必要な範囲にとどまっていることなどが求められます。
たとえば、他人の記事の大部分をコピーして、最後に「出典:〇〇」と記載しただけでは、引用ではなく転載と判断される可能性があります。
また、画像についても、「出典:〇〇」と書けば自由に使えるわけではありません。
画像そのものを使う必要性があるのか、どのような目的で使うのか、権利者の許可が必要ではないのかを確認する必要があります。
| よくある使い方 | 注意点 |
|---|---|
| 他人の記事を長くコピーして、末尾に出典を書く | 引用ではなく転載と判断される可能性があります。 |
| ネット画像に出典を付けてブログに掲載する | 出典表示だけでは、利用許諾の代わりにはなりません。 |
| 他人の文章を少し言い換えて使う | 表現の本質的な特徴が残っていれば、問題になることがあります。 |
誤解2:「フリー素材なら自由に使える」
フリー素材サイトは、とても便利です。
ブログのアイキャッチ画像、SNS投稿、チラシ、プレゼン資料など、事業の情報発信を助けてくれる心強い存在です。
しかし、「フリー素材」と書かれているからといって、何にでも自由に使えるわけではありません。
サイトによって、商用利用の可否、加工の可否、クレジット表記の要否、再配布の禁止、素材をメインにした商品化の禁止など、利用条件が定められています。
特に、事業用のホームページや広告、販売促進資料で使う場合は、「商用利用」に該当する可能性があります。
個人利用は可能でも、商用利用は不可という素材もあります。
また、無料でダウンロードできる素材であっても、利用規約に違反すればトラブルになる可能性があります。
「無料で手に入ること」と「どのように使ってもよいこと」は、分けて考える必要があります。
誤解3:「SNSに投稿されているから使える」
最近は、SNS上の写真やイラストをめぐるトラブルも増えています。
X、Instagram、Threadsなどに投稿されている写真やイラストも、誰かが撮影・制作した作品です。
公開アカウントに投稿されているからといって、自由に保存してブログやチラシに使ってよいわけではありません。
特に注意したいのは、SNS投稿のスクリーンショットです。
投稿内容を紹介する目的でスクリーンショットを掲載する場合でも、画像や文章、アイコン、アカウント名、コメントなどが含まれることがあります。
引用として適法に利用できる場合もありますが、単なる転載や紹介のための無断掲載になっていないかを慎重に確認する必要があります。
「借りました」「お借りしました」と書くだけでは、許可を得たことにはなりません。
3. 著作権トラブルを防ぐ3つの鉄則
では、著作権トラブルを防ぐためには、どのような点を意識すればよいのでしょうか。
大切なのは、難しい法律論をすべて覚えることではありません。
日々の情報発信の前に、次の3つを確認する習慣を持つことです。
鉄則1:利用条件を確認する
素材を使う前には、必ず利用条件を確認しましょう。
確認する場所は、素材サイトの「利用規約」「ライセンス」「ご利用について」などのページです。
画像ごとに条件が表示されている場合もあります。
特に確認したいのは、商用利用ができるか、加工できるか、クレジット表記が必要か、禁止されている使い方はないかという点です。
事業用ホームページやチラシ、SNSで使う場合は、自分では軽い気持ちでも、外から見ると事業活動の一部です。
そのため、個人利用の感覚で素材を使うと、思わぬトラブルにつながることがあります。
また、利用条件は変更されることがあります。
確認した時点の利用規約をスクリーンショットやPDFで保存しておくと、後から確認できるので安心です。
鉄則2:権利者や条件が分からない素材は使わない
著作権で迷ったときに大切なのは、「分からないから大丈夫」ではなく、「分からないなら使わない」という考え方です。
画像検索で見つけた画像や、まとめサイトに掲載されていた画像の中には、元の権利者が分からないものもあります。
また、無断転載された画像が検索結果に表示されることもあります。
その画像をさらに自分のブログやSNSで使ってしまうと、結果的に権利侵害に巻き込まれる可能性があります。
「多くの人が使っているから大丈夫」という判断も危険です。
他の人が問題なく使っているように見えても、実際には許可を得ている場合もあれば、単に権利者が気づいていないだけの場合もあります。
権利者や利用条件が分からない素材は使わない。
これは、シンプルですがとても重要な予防策です。
鉄則3:引用・転載・紹介を区別する
著作権の話で特に誤解されやすいのが、「引用」「転載」「紹介」の違いです。
引用は、自分の説明や批評のために、必要な範囲に限って他人の著作物を取り込む使い方です。
一方、転載は、他人の文章や画像をそのまま掲載する使い方です。
紹介は、他人の記事や資料の内容を、自分の言葉で説明することです。
この3つを混同すると、トラブルが起きやすくなります。
| 種類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 引用 | 自分の説明や批評のために、必要な範囲で他人の著作物を使うこと | 主従関係、明瞭区別、必要性、出典明示などが必要です。 |
| 転載 | 他人の文章や画像をそのまま掲載すること | 原則として権利者の許可が必要です。 |
| 紹介 | 内容を自分の言葉で説明すること | 元記事へのリンクや出典表示を添えると、読者にも親切です。 |
言葉だけでは分かりにくいため、簡単なイメージを見てみましょう。
引用のイメージ(簡略例)
例えば、ホームページで画像を利用する際の注意点を説明する記事を書いているとします。
文化庁の資料では、著作権について次のように説明されています。
「〇〇〇〇〇〇〇〇」
(出典:○○○○)
このことからも、「ネットに公開されているから自由に使える」と考えるのではなく、利用条件や権利関係を確認することが大切だといえるでしょう。
このように、自分の説明を補足するために必要な範囲で引用し、引用部分と自分の文章を明確に区別することが大切です。
問題になる可能性がある例
文化庁の解説ページや他人のブログ記事の文章を数段落そのまま掲載し、最後に「出典:〇〇」とだけ記載した。
出典を記載していても、実質的に他人の文章をそのまま掲載している場合は、引用ではなく転載と判断される可能性があります。
ブログで他人の記事を取り上げる場合は、できるだけ自分の言葉で要点を説明し、本当に必要な部分だけを引用する形にすると、読みやすさの面でも著作権リスクの面でも整理しやすくなります。
4. 素材を使う前に確認したいポイント
素材を利用する前には、次のポイントを確認しておくと安心です。
- 誰が作った素材か
提供元や権利者が分からない素材は、利用条件を確認すること自体が難しくなります。画像検索だけで見つけた素材は、特に注意が必要です。 - 商用利用できるか
事業用ホームページ、広告、チラシ、SNS運用で使う場合は、商用利用に該当する可能性があります。個人利用は可能でも、商用利用は制限されている素材もあります。 - 加工できるか
トリミング、文字入れ、色の変更などが認められているか確認しておきましょう。加工が禁止されている素材を変更して使うと、利用規約違反になる場合があります。 - クレジット表記が必要か
作者名やサイト名、リンクの表示が必要な素材もあります。表記が必要な場合は、指定された方法で表示することが大切です。 - 禁止事項はないか
再配布、ロゴへの利用、素材をメインにした商品化、AI学習への利用などが禁止されている場合があります。特に事業利用では、禁止事項の確認が重要です。 - 利用条件を保存したか
利用条件は後から変更されることがあります。使った時点での利用規約やライセンス表示を、スクリーンショットやPDFで保存しておくと安心です。
この確認は、慣れるまでは少し手間に感じるかもしれません。
しかし、削除対応や差し替え、損害賠償、取引先への説明などに比べれば、事前確認の手間はとても小さなものです。
特に、ホームページのトップページ、サービス案内、チラシ、広告画像など、長く使う素材ほど慎重に確認しておきたいところです。
5. 素材サイトの利用条件はここを見る
素材サイトを利用するときは、「ダウンロードできたから使える」と考えるのではなく、必ず利用条件やライセンス表示を確認しましょう。
たとえば、よく利用される素材サイトでは、次のような場所に利用条件が表示されています。
| 素材サイト | 確認する場所 | 確認したい内容 |
|---|---|---|
| いらすとや | サイト内の「ご利用について」 | 商用利用、点数制限、加工、禁止事項など |
| 写真AC | 画像ページやライセンス表示 | 利用範囲、禁止事項、モデルリリースなど |
| Pixabay | 各画像のライセンス表示 | 商用利用、クレジット表記、禁止事項など |
以下の画像は、代表的な素材サイトで利用条件を確認できる場所の一例です。
※利用条件やライセンス表示の場所は、サイトの更新により変更される場合があります。実際に利用する際は、最新の利用規約をご確認ください。
素材サイトはとても便利ですが、サイトごとにルールが異なります。
また、同じサイト内でも、素材の種類や利用方法によって注意点が変わることがあります。
たとえば、写真素材の場合は、撮影者の著作権だけでなく、写っている人物の肖像権や、建物・商品・ロゴなどが問題になることもあります。
人物写真を広告やホームページで使う場合は、モデルリリースの有無も確認しておく必要があります。
「いつも使っているサイトだから大丈夫」と思わず、実際に使う素材ごとに確認することが大切です。
6. 小規模事業者こそ注意したい理由
著作権の問題というと、出版社や制作会社、大企業の法務部門が扱うものというイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には小規模事業者や個人事業主こそ注意が必要です。
なぜなら、ホームページやSNS、チラシ、ブログを自分で作成・更新しているケースが多いからです。
外注せずに自分で作ることは、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
その一方で、素材選びや文章作成、画像利用の判断も自分で行うことになります。
たとえば、次のような場面は身近に起こり得ます。
- ブログのアイキャッチ画像
検索画像をそのまま使わず、利用条件が明確な素材を使う必要があります。 - SNS投稿
他人の写真やイラストを無断転載しないよう注意が必要です。スクリーンショットを使う場合も、引用として整理できるか確認が必要です。 - チラシ・パンフレット
印刷物での利用が認められているか確認する必要があります。Web利用は可能でも、印刷物での利用条件が異なる場合があります。 - セミナー資料
引用と転載を区別し、出典や利用範囲を確認する必要があります。配布資料として使う場合は、公開範囲にも注意が必要です。 - 外注先から納品された画像
外注先が適切に権利処理しているか確認しておくことが大切です。
特に気を付けたいのは、外注した場合です。
デザイナーや制作会社に依頼した場合でも、納品された画像やデザインに第三者の素材が含まれていることがあります。
その素材がどのような条件で使われているのか、商用利用できるのか、二次利用できるのかを確認しておくことは、発注者側にとっても大切です。
「制作会社に任せたから大丈夫」と思っていても、実際にホームページや広告を公開するのは自社です。
契約書や発注時のやり取りの中で、使用素材の権利関係について確認しておくと安心です。
また、著作権トラブルは、損害賠償だけが問題になるわけではありません。
ホームページの画像を急いで差し替えなければならない、取引先に説明しなければならない、SNSで指摘されて信用が下がるなど、事業活動への影響もあります。
特に小規模事業者の場合、一つひとつの信用がとても大切です。
だからこそ、著作権を意識することは、決して大げさなことではありません。
日々の運用の中で「確認する」「記録を残す」「分からないものは使わない」という習慣を持つことが、トラブル予防につながります。
7. まとめ
ネット上には便利な画像や文章、フリー素材がたくさんあります。
しかし、便利だからこそ、著作権の確認を後回しにしてしまいがちです。
素材を利用する前には、利用条件を確認すること、権利者や利用条件が分からない素材は使わないこと、そして引用・転載・紹介の違いを意識することが大切です。
「出典を書けば大丈夫」「無料素材だから自由に使える」「SNSに投稿されているから使ってよい」という思い込みは、思わぬトラブルにつながることがあります。
著作権を守ることは、他人の創作を尊重することです。
そして同時に、自分自身の作品や事業、そして信用を守ることにもつながります。
ホームページやSNSを安心して運用していくためにも、素材を使う前のひと手間を大切にしたいですね。
知財をもっと身近に。もっと味方に。
📚過去記事
- 第1回:著作権の実名登録とは?第一発行年月日との違いも初心者向けに解説!
- 第2回:「プログラム著作物の著作権管理と創作日の登録が重要な理由」
- 第3回:個人・小規模事業者のための著作権譲渡契約入門
- 第4回:これ、使っていいのかな? ― 作者がわからない作品と著作権の話
📰関連記事
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→ 著作権の基礎から実務までをまとめて確認できます - 📖 著作権の基礎シリーズ第1回(基礎から読みたい方はこちら)
→ 「著作物とは?どこから著作権で守られる?」を初心者向けに解説 - 🔍 知財シリーズまとめ(全7回)はこちら
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