知財のグレーゾーンシリーズ第4回:海外展開と知財リスク


―日本の常識が通じない国別商標・特許事情とWIPO多国間制度の活用法

こんにちは!

海外にビジネスを広げたいと思っている企業の方も多いですよね。でも、知的財産権(知財)のことをうっかり見落としてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

日本では当たり前でも、海外では通じないルールもあるんです。この記事では、国によって違う商標や特許のルール、そして実際にあった中国でのトラブル例をわかりやすくお話しします。

さらに、WIPO(世界知的所有権機関)が提供する便利な国際制度の活用方法もご紹介しますので、海外展開を検討中の方はぜひ参考にしてくださいね。


1. 国によって違う商標・特許のルール

日本では「先に使っている人が強い」という考え方が基本ですが、中国などの国では「先に登録した人が権利を持つ」ルールになっています。

実際にあった中国でのトラブル

例えば、日本のある企業さんが中国に進出しようとしたとき、すでに現地の別の会社が自社の商標を先に登録していることがわかりました。

驚いたのは、その商標はほとんど使われていなかったことです。これは「商標の先取り」といって、権利だけを先に取ってしまうトラブルの典型例。

結局、その日本企業さんは権利を買い戻すために予想外の費用を支払うことになってしまいました。


2. 早めの登録が大切な理由

海外での特許や商標は、スピードがとっても重要。遅れると他の人に先を越されてしまうかもしれません。

また、国によって登録や更新にかかる費用も違いますし、無計画に進めるとコストがかさんでしまいます。

だからこそ、早めに出願してしっかり計画を立てることが大切なんです。


3. WIPOの多国間制度で賢く知財管理(具体例でご紹介)

製造業A社の特許取得チャレンジ

ある製造業のA社さんは、新しい技術の特許をアメリカ、中国、ヨーロッパで取りたかったのですが、各国にバラバラに出願すると手続きも費用も大変。

そこでWIPOのPCT制度を使うことに。

  • 日本で「国際出願」を一回だけして、複数の国へまとめて特許申請ができました。
  • 技術の評価も早めに受けられて、どの国で出願するかじっくり考える時間が取れました。
  • その結果、無駄な費用を減らしつつ、欲しい国でしっかり特許を取ることができました。

化粧品ブランドB社の商標管理の工夫

B社さんは人気の化粧品ブランドを海外でも使いたかったのですが、国ごとに商標を管理するのは大変そう。

そこでマドリッド制度を利用。

  • 日本で商標登録を済ませたあと、ひとつの申請で複数の国にまとめて商標登録ができました。
  • 登録後の更新や権利の譲渡も一括でできて管理がとても楽に。
  • 新しい国に進出したいときも、手軽に商標を追加できました。

おかげで、B社さんは海外でも安心してブランドを守りながら、どんどん成長できたんです。


4. WIPOの制度って?もう少し詳しく

PCTって?

PCTは、一度の国際出願で複数の国に特許を申請できる制度です。

申請後、技術が新しいかどうかの調査を受けられて、30ヶ月くらいの間にどの国で出願するか決められます。

これで焦らず戦略を練りながらコストも分散できます。

マドリッド制度って?

マドリッド制度は、日本で商標登録をしてから、一つの申請でたくさんの国に商標を登録できる仕組みです。

登録後も管理が一括でできて、とっても便利。

ただし、すべての国がこの制度に入っているわけではないので、進出予定の国が加盟しているかは確認が必要です。


5. 役立つ海外進出支援機関リンク

海外展開の心強い味方、いくつかご紹介しますね。


まとめ

海外に進出するときは、日本の知財ルールと違う部分をしっかり理解して、早めに権利を取ることが大切です。

WIPOのPCTやマドリッド制度は、複数国での知財取得をぐっと簡単にしてくれる便利な制度なので、ぜひ活用しましょう。

また、専門家や支援機関の力を借りて、計画的に進めることが成功への近道ですよ。

知財をもっと身近に。もっと味方に。

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・コラム①:営業秘密と契約の穴〜守ったつもりが、守れてなかった〜
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