「知財のグレーゾーン」シリーズ コラム③(第2.6回):デジタル社会の影
― SNS時代に潜む詐欺と誤解
こんにちは!
当事務所では、個人や小規模事業者の皆さまが直面しやすい、知的財産やデジタル時代のリスクについて、身近な視点で解説する記事をお届けしています。
この「知財のグレーゾーン」シリーズでは、法律と実社会との“あいだ”にあるモヤモヤを、事例を交えながら読み解いていきます。
今回はちょっと視点を広げて、「SNSやネットを通じて広がるリスク」と「それにどう向き合えばよいか」について考えてみたいと思います。
🔁 前回までの記事はこちら:
👉第1回 :営業秘密とは?あなたの情報、どこまで守れていますか?
👉コラム①:営業秘密と契約の穴〜守ったつもりが、守れてなかった〜
👉第2回 :不正競争防止法の落とし穴~「盗用された!」と思っても守れないこともある?~
👉コラム②:SNS時代の知財トラブル ― 不正競争防止とSNSの罠
SNSがつなぐ“リスクの連鎖”
SNSは人と人、情報と情報を一瞬でつなぐ便利なツール。
しかしその一方で、信頼関係の錯覚や誤認、詐欺の温床にもなりかねません。
以下、代表的なトラブルと注意点をいくつかご紹介します。
1. アプリゲームの課金 ― 「ちょっとだけ」が落とし穴
スマホアプリやゲームでの課金は、誰もが気軽に行える時代になりました。
「300円だけ…」「おまけがつくから今だけ…」といった少額の積み重ねが、月に数千円、数万円になることも。
特に、子どもが親のスマホを使って課金してしまうといったケースも多発しています。
トラブルを防ぐには、利用制限機能の設定や、家庭内でのルール作りが重要です。
2. オンラインカジノと「ゲーム」の境界線
オンラインカジノは、「ゲーム感覚でお金を賭けられる場」として一部で広まっていますが、日本では賭博罪に該当する可能性が高いとされています。
- アプリ課金:ゲームアイテムや機能の購入(合法)
- オンラインカジノ:勝敗に応じてお金が増減する(原則違法)
「娯楽」と「賭博」は紙一重。法的リスクを知らずに利用してしまうと、加害者になることもあるため注意が必要です。
3. 「絶対儲かる」は絶対にウソ
― 投資詐欺にご注意を
「AIが資産を自動運用」「簡単に利益が出るノウハウ」などを謳う投資詐欺が、高齢者を中心に多発しています。
「この投資法を使えば必ず利益が出る」
「AIが最適な銘柄を自動で選んでくれる」
「今なら間に合う!限定情報!」
このような言葉に心が動いたことはありませんか?
特にSNSでは、豪華なライフスタイルの写真とともに「成功体験」を見せる投稿が信頼を集め、
つい「この人なら本物かも」と思ってしまうことがあります。
- SNSやLINEで接触され、信用させたうえで勧誘
- 実体のない“自称コンサル”や“高額セミナー”に誘導
- 最終的には数十万円〜数千万円を失うケースも
「誰でも儲かる」「元本保証」は詐欺の常套句。
投資に絶対の成功法則はありません。
もうかる人がいれば、必ず損をする人がいる。これはどんな金融商品でも変わらない真理です。
“口がうまい”人ほど、要注意!
信頼すべきは「根拠と仕組み」、そして「自分の冷静な判断力」です。
4. ロマンス詐欺 ― 「信じてしまった」が命取り
SNSやマッチングアプリを通じて心を通わせたはずの相手が、実は詐欺グループの一員だった…というロマンス詐欺。
「一度も会ったことがないのに、深く愛されている気がする」
「大切な人を助けたい。だからお金を送ってあげたい」
ロマンス詐欺に関するニュースを見て、
「なんで騙されるの?」と思う方もいるかもしれません。
でも、寂しさや不安につけ込む言葉は、誰にとっても弱点になりえます。
特に、
- SNSで知り合ってすぐ親密になる
- 外国人を名乗り、急にビジネスや家族の問題で資金を要求してくる
- 「他言しないで」と言って孤立させてくる
このような行動があれば、その相手は“恋人”ではなく“仕掛け人”かもしれません。
被害者の多くは、「まさか自分が…」と語ります。
ネット上の関係でも、現実と同じ慎重さが求められるのです。
5. SNSの「いいね」や「フォロー」が誤解を生む?
最後に少し意外な話を。
SNSでの「いいね」やフォローは、ただのリアクションだと思われがちですが、それ自体が“意思表示”と見なされることもあります。
たとえば、同業者の投稿や、明らかに内容が問題のある投稿にも無差別にリアクションしてしまうと、
「この人はこういう考え方を支持しているのかも」と誤解されることも。
また、ライバル業者の誤情報を拡散させてしまったことで、信頼失墜のきっかけになることも。
自分の反応が信用に影響を与えることを意識する必要があります。
SNSは“発信”だけでなく、“反応”にも責任が伴う時代なのです。
おわりに
SNSやネットは、情報を広げる武器にもなりますが、誤解や詐欺の温床にもなるという、まさに“諸刃の剣”。
「ちょっとだけ」「うちは大丈夫」「そんなつもりじゃなかった」
— そんな小さな油断が、大きなトラブルを引き寄せるのがデジタル社会の怖さです。
SNSやアプリ課金は生活の一部となりつつありますが、それゆえに「見えにくいリスク」への意識が必要です。
法律や仕組みを知っておくことは、自分や家族を守る最大の備えになります。
このシリーズでは今後も、知財とその周辺にある“グレーゾーン”を一緒に見つめ直していきたいと思います。
知財をもっと身近に。もっと味方に。
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📚 関連記事はこちら:
👉第1回 :営業秘密とは?あなたの情報、どこまで守れていますか?
👉コラム①:営業秘密と契約の穴〜守ったつもりが、守れてなかった〜
👉第2回 :不正競争防止法の落とし穴~「盗用された!」と思っても守れないこともある?~
👉コラム②:SNS時代の知財トラブル ― 不正競争防止とSNSの罠
🔗外部リンク
👉警察庁・SOS47:特殊詐欺対策ページ
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