知財のグレーゾーンシリーズ第1回 営業秘密が漏れる典型パターンと防止策を解説!

こんにちは!
今回から始まる「知財のグレーゾーン」シリーズでは、特許や商標のように「登録されている権利」ではないけれど、現実のビジネスの中で重要な役割を果たしている知的財産について取り上げていきます。

第1回のテーマは「営業秘密」。
「うちは特許なんてないし…」「秘密にするほどのことじゃないから」――そんなふうに思っていませんか?
でも実は、どんな小さな商売でも“秘密にすべき情報”は必ず存在します。


🔐 営業秘密って、そもそも何?

営業秘密とは、法律上は「不正競争防止法」によって保護される“秘密情報”のことをいいます。
保護を受けるには、次の3つの条件を満たしている必要があります。

✅ 1. 秘密として管理されていること(秘密管理性)

→ パスワードをかける、アクセス制限をする、秘密扱いの表示をするなどの措置が必要です。

✅ 2. 事業活動に有用な情報であること(有用性)

→ 顧客リスト、仕入先情報、価格設定マニュアル、調合レシピ、ノウハウなど。

✅ 3. 一般に知られていないこと(非公知性)

→ ネット上に公開されていたり、社外の誰でも見られる状態なら対象外です。


💥 実例で見る!ありがちな「漏れ」

営業秘密は、「大切にしているつもり」で守れるものではありません。
たとえば、こんなケースは要注意です。

  • 新人スタッフがGoogleドライブの共有設定を“全体公開”にしていた
  • 退職した従業員がUSBに顧客リストをコピーしていた
  • パートナー企業と情報を共有したが、NDA(秘密保持契約)を結んでいなかった

これらのケースでは、秘密管理性が認められない=法律上の保護対象にならない可能性が高くなります。


🧩 なぜ“営業秘密”として守る必要があるのか?

例えば、あなたが独自に考えたサービス提供の流れや価格設定ロジックを、ライバルがそっくり真似してきたとします。
でも、特許をとっていなければ、その情報自体には法的保護はありません。
このとき、唯一の武器になり得るのが「不正競争防止法」による営業秘密の保護です。

しかし、そのためには「きちんと秘密管理していたこと」が求められます。
つまり、日頃から“守る姿勢”を整えておくことが、いざというときの備えになるのです。


🛠 今からできる3つのポイント

  1. 「これは大事な情報かも」と気づくこと
     → ノウハウ、リスト、価格表、手順書…外に漏れたら困る情報は営業秘密の候補です。
  2. 情報に「秘密」のラベルを貼る
     → ファイル名に「社外秘」表示を入れる、アクセスを制限する、社内ルールを明確にするなど。
  3. NDA(秘密保持契約)を結ぶ習慣を持つ
     → 特に社外とやり取りがある場合は必須です。形式だけでなく、内容の確認も大切。

📝 おわりに

営業秘密という言葉は、少し堅く感じるかもしれません。
でも実際には、日々の業務の中に「他に知られたくない大事な情報」はたくさんあるはずです。

それを**「秘密として守る」意思と仕組みがあるかどうかで、
将来トラブルが起きたときの
“守れるかどうか”が決まる**――
そう考えると、営業秘密の管理は決して大企業だけの話ではありません。

私もまだまだ勉強中ではありますが、「知らなかった」で困る方を少しでも減らせるよう、
これからも知財のことを、できるだけわかりやすく発信していきます。
また気が向いたときに、のぞいていただけたら嬉しいです。

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📚知財シリーズはこちら

・第1回:「著作権だけじゃない!」~知財って、実はあなたのすぐそばにある~
・第2回:「名前」や「ロゴ」にも知的財産があるって本当? 〜商標のお話〜
・第3回:「特許」ってすごい!〜未来を変える発明のチカラ〜
・第4回: 契約してこそ活かせる!知財の利用と守り方 
・第5回: 衣装と知財の交差点(応用編)〜ファッションと知財の関わりを総まとめ〜
・第6回:意匠という知的財産~アイデアを守り、ブランドを育てる意匠権〜
・第7回:実用新案という知的財産 ~身近なアイデアが社会を動かすな力~

🔗外部リンク

👉経済産業省:営業秘密~営業秘密を守り活用する~


✨ 次回予告:不正競争防止法の落とし穴

次回は、営業秘密以外にもある「不正競争防止法」の保護対象について解説します。
「これってパクリになるの?」「そもそも“競争”ってどこまでが自由?」――
そんな疑問にもお応えしていきます!


📎 ちょっと先読み:コラム特集も予定!

このシリーズでは、実際のトラブル事例に近い「契約の穴」や「SNSの罠」なども、コラム形式でお届けする予定です。
読みやすく、でも相談につながるような“ヒント”になれば嬉しいです。

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