著作権シリーズ第9回 著作隣接権ってなに?画像・音楽・演奏…使う前に知っておきたい注意点

こんにちは!
著作権と聞くと、「創作した人」の権利というイメージがあるかと思います。
しかし、実はその隣に、もうひとつの重要な権利があります。

それが著作隣接権(ちょさくりんせつけん)
歌手や俳優、ナレーター、放送局など、作品を「伝える」「表現する」人たちの権利です。

今回は、小規模事業者や個人にも関係する場面を中心に、実例と図解を交えながら丁寧にご紹介します。


著作隣接権とは?著作権との違いを図解でチェック

著作隣接権は、作品を「伝える」「発信する」人たちに与えられた権利です。
まずは以下の図をご覧ください。

著作権と著作隣接権の違い(図解)

著作権と著作隣接権の違いを示した図解。著作物の創作と伝達の関係を簡潔に表現。

著作権:創作した人(作詞・作曲・執筆など)
著作隣接権:それを伝える・演じる人(歌手・俳優・ナレーター・放送局など)

著作物を使用する際は、この両方の権利を確認する必要があるケースもあります。


知らないと危ない?よくあるトラブル事例4選

事例①:カフェで流したCDが違反に?

お気に入りのCDをBGMとして流していたカフェに、JASRACから通知が…。
実は、CDには作詞・作曲の「著作権」だけでなく、録音を制作した人の「著作隣接権(レコード製作者権)」も関係しています。

事例②:YouTubeでの演奏動画が削除された

知人がピアノで名曲を演奏し、動画を公開。伴奏に既存の音源を使ったところ、動画が削除されてしまいました。
→ 原因は「音源の著作隣接権(製作者の権利)」を侵害していたこと。

事例③:有料セミナー動画にナレーション素材を使用

市販のナレーション音源を使って動画を制作・販売したところ、後日、音声提供元から連絡が…。
→ 実演したナレーターには「実演家としての著作隣接権」があるため、商用利用は契約違反に。

事例④:地域イベントで映画の一部を上映

地域イベントで映画DVDの一部を映したところ、配給会社から注意が入りました。
→ DVDや放送映像には「放送事業者・製作者の隣接権」が関係。たとえ一部でも、無断上映はNGです。


どんな人・業種が注意すべき?(まとめ表)

シーン関係する隣接権者注意ポイント
店舗BGMレコード製作者・実演家商用使用は許可が必要なことも
SNSでの音源利用製作者・実演家フリー音源でも利用条件確認
動画制作・配信ナレーター・放送局商用利用・編集の範囲に注意
教材・講演で映像使用放送事業者・製作者許諾が必要なケースが多い

小規模事業者・個人が気をつける3つのポイント

① 素材の出典・ライセンスを必ず確認!

  • 「フリー素材」でも商用利用OKかチェック
  • 音声・映像はとくに隣接権者が多いため注意

② 自分が作ったコンテンツにも“他人の権利”がないか確認

  • AI生成音源や自動ナレーションなども出所を要確認

③ 不安なときは「確認する・使わない」のが正解

  • 素材提供者や権利者に問い合わせる勇気を持つ
  • リスクが高い素材は避けるのも立派な対応

著作隣接権にもリスペクトを

著作権と著作隣接権は、創作物を世の中に届ける両輪です。
「創る人」だけでなく、「演じる人」「伝える人」の努力があってこそ、私たちは作品を楽しめます。

  • ✅ 店舗で音楽を流すとき
  • ✅ 動画に音源を使うとき
  • ✅ 映像・ナレーションを活用するとき

今後は「誰の権利が関係しているか?」を意識してみましょう。

📌 まとめ

著作隣接権ってあまり馴染みがないかもしれないですが、知ることでその大切さがわかると思います。
著作権シリーズもあとわずかとなりましたが、少しでも著作権の大切さを伝えていきたいと思っています。

知財をもっと身近に。もっと味方に。

\お気軽にお問い合わせ・ご相談ください!/


📚過去記事はこちら

・第1回:著作権の実名登録とは?第一発行年月日との違いも初心者向けに解説!

・第2回:「プログラム著作物の著作権管理と創作日の登録が重要な理由」

・第3回:個人・小規模事業者のための著作権譲渡契約入門

・第4回:これ、使っていいのかな?――著作者がわからない作品と著作権の話

・第5回:ネットにあるもの、勝手に使ってもいいの?~画像・文章・音楽などの取り扱い注意ポイント~

・第6回:自分の作品が勝手に使われた!そんなときどうすれば?

・第7回:お客さんとやりとりするときに気をつけたい、著作権と契約の話

・第8回:著作権フリー?パブリックドメイン? よく聞く言葉をやさしく解説

🔗外部リンク

文化庁:著作隣接権

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