情報セキュリティと知財管理シリーズ第9回:補助金申請にも関係?
―情報管理体制が評価される時代へ
はじめに
こんにちは!
本シリーズもいよいよ最終回となりました。今回のテーマは「補助金申請と情報管理体制の関係」です。近年、補助金や支援制度の審査項目においても「情報セキュリティ」「ガバナンス」が重視されるようになっています。単なる申請書の完成度ではなく、企業としての信頼性・体制が問われる時代へと変化しています。
補助金申請と情報管理体制の関係
補助金申請においては、事業計画の妥当性だけでなく「情報管理体制」が評価されるケースが増えています。特に経済産業省や中小企業庁が関与する補助金では、情報漏洩対策やセキュリティ意識の有無が審査に影響を与えることがあります。
実例紹介:評価された情報管理体制
実際の補助金申請の現場では、情報管理体制を整えることで高く評価された事例があります。
- 小規模製造業が「IT導入補助金」でセキュリティソフトの導入と社員教育を同時に実施 → 申請審査で加点評価。
- サービス業の事業者が「小規模事業者持続化補助金」において、顧客データ管理マニュアルを整備 → 信頼性が評価され採択。
このように「情報管理=コスト」ではなく「評価される投資」としての位置付けが強まっています。
企業価値とガバナンスとの関係
企業価値は財務的な指標だけでなく、非財務情報である「ガバナンス」や「情報管理体制」も重視される時代です。中小企業や個人事業主であっても、取引先や金融機関から「セキュリティ体制の確認」を求められることが増えています。これは単に大企業向けの話ではなく、事業の信頼性を左右する要素となっています。
安心の公的支援「サイバーセキュリティお助け隊」
情報セキュリティ対策は重要と分かっていても、「専門人材がいない」「コストが高い」と感じて後回しにされがちです。そんな中小企業を支えるのが、経済産業省が推進し、IPA(情報処理推進機構)が窓口となっている「サイバーセキュリティお助け隊サービス」です。
このサービスでは、登録された提供事業者が企業のセキュリティを24時間体制で監視し、異常検知や初動対応までサポートします。自社に専任担当者がいなくても、公的に認められた外部サービスを利用して安心を確保できるのが大きな特徴です。
さらに、この「お助け隊サービス」は、IT導入補助金(セキュリティ対策推進枠)の評価対象となっており、導入コストの一部を補助金でまかなえる可能性があります。経済産業省の公式ページには、対象サービスや補助額が一覧表で整理されているため、導入を検討する際には確認してみると安心です。
まとめ
補助金申請において、情報管理体制が評価対象となる時代に入っています。企業価値を高める上で、セキュリティは「守り」ではなく「信頼の証」として活用できるのです。さらに、公的支援である「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用すれば、実効性のある対策と補助金の活用を同時に実現できます。
おわりに
全9回にわたってお届けした「情報セキュリティと知財管理シリーズ」も今回で最終回となりました。これまで見てきたように、情報セキュリティは中小企業や個人事業主にとって決して特別なものではなく、日常業務の一部として欠かせない存在です。
補助金申請における評価や企業価値の向上、そしてガバナンスの強化まで、セキュリティ対策は「未来への投資」です。行政書士 Aya法務事務所では、皆さまの安心・安全な経営をサポートするパートナーとして、引き続き情報発信とご相談対応を行ってまいります。
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