共同親権と養子縁組|再婚(連れ子養子)で親権はどう変わる?

これまで、離婚後の共同親権について、親権者の定め方、日常の決定、親子交流、養育費などを整理してきました。

今回は少し視点を変えて、「養子縁組が関係する場合、親権はどうなるのか」を見ていきます。

特に、再婚家庭では現実に起こり得るテーマです。離婚後に共同親権の定めをしていた場合でも、養子縁組によって親権関係が大きく変わることがあります。

再婚と養子縁組による親権の変化を示した図。母親と再婚相手(養父)が共同親権を持ち、実父は親権を持たない構造を説明している。"/

養子縁組後の親権の基本

まず、基本的なルールを押さえておきます。

未成年の子が養子となった場合、原則として養親がその子の親権者となります。

もっとも、「実親が親権を失うかどうか」は、養子縁組の形態によって結論が異なります。

例えば、養親が実親の配偶者ではない場合、いわゆる第三者との養子縁組では、実親は親権を失うことになります。

一方で、再婚家庭で、再婚相手が配偶者の子と養子縁組をする場合には、取扱いが少し異なります。

このように、養子縁組は単に親子関係が増えるだけでなく、親権の帰属そのものが大きく変わる点に特徴があります。

再婚家庭(連れ子養子)の場合

ここからが今回の重要なポイントです。

再婚した配偶者が、相手の子と養子縁組をした場合、親権はどのようになるのでしょうか。

この点については、法務省の解説図が分かりやすいため、引用して整理してみます。

再婚家庭での養子縁組(連れ子養子)の親権関係を示す図。養父と実母が共同で親権を行使し、別居している実父は親権を持たない構造を説明している。

出典:法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」より引用

この場合、養子縁組が成立すると、養親とその配偶者である実親が共同で親権を行使することになります。

一方で、もう一方の実親、つまり別居している父または母は、親権者ではなくなります。

これは、仮に離婚後に父母が共同親権の定めをしていた場合であっても同様です。

つまり、再婚に伴う養子縁組では、

「養親+同居している実親」が親権者となり、他方の実親は親権を失う

という構造になります。

ここは、共同親権の制度と養子縁組の制度が交差するため、誤解が生じやすい部分です。

共同親権のもとでの養子縁組

では、離婚後に父母が共同親権となっている場合、養子縁組はどのように進めるのでしょうか。

15歳未満の子については、養子縁組の際に、親が子に代わって承諾する必要があります。これを代諾といいます。

共同親権の場合には、父母が共同でこの代諾を行う必要があります。

したがって、一方の親だけの判断で養子縁組を進めることは、原則としてできません。

再婚に伴う養子縁組は、家族関係を安定させる一方で、別居している親との関係にも大きな影響を与えます。そのため、慎重な整理が必要になります。

意見が対立した場合

ここで問題になるのが、父母の意見が一致しない場合です。

これまでは、父母の同意がそろわなければ養子縁組を進めることができませんでした。

しかし、今回の改正では、特定の事項、この場合は養子縁組の代諾について、親権行使者を定める審判を家庭裁判所に申し立てることが可能となりました。

これにより、裁判所が、父母の一方が単独で代諾できる旨を定めることができるとされています。

もっとも、このような取扱いは無制限に認められるものではありません。

養子縁組の代諾については、子の利益のために特に必要がある場合に限り認められるとされており、通常よりも厳しい要件が課されています。

実務上も、単に父母の意見が対立しているというだけでは足りず、その判断が子の利益にどのように資するかが重視される点に注意が必要です。

その他の改正

今回の改正では、養子縁組以外にもいくつかの見直しが行われています。

例えば、夫婦間で結んだ契約を、一方的に取り消すことができるとされていた規定が削除されました。

また、強度の精神病にかかり回復の見込みがないことが、裁判離婚の事由の一つとされていましたが、今回の改正ではこの規定も削除されています。

いずれも、家族関係や当事者の尊厳に関する考え方の変化を踏まえた見直しといえるでしょう。

まとめ

養子縁組は、親子関係を形成する制度であると同時に、親権の帰属を大きく変える制度でもあります。

特に再婚家庭においては、誰が親権者になるのか、もう一方の実親はどうなるのか、共同親権との関係はどう整理されるのかを、事前に確認しておくことが大切です。

また、共同親権のもとでは父母の意見対立が生じる場面も想定されます。

その場合でも、家庭裁判所の関与が常に認められるわけではなく、養子縁組の代諾については、子の利益のために特に必要がある場合に限られる点に注意が必要です。

養子縁組は家族関係の安定につながる一方で、親権関係にも大きな影響を与えるため、事前の理解が重要です。

次回は、共同親権の中でも特に重要なテーマである「DV・モラハラがある場合の共同親権」について整理していきます。

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