🍱食の安心×知財シリーズ 第3回:見た目で選ばれる時代
― パッケージ・店舗デザインの“知財リスク”と守り方
こんにちは!
当事務所では、食品業界の皆さまが安心して事業を続けられるよう、「HACCP」や「知財」を通じたサポートに取り組んでいます。
第3回では、食品パッケージ・店舗のデザイン・演出など“見た目の価値”が他社に真似されたときの対処法と、事前にできる対策についてわかりやすく解説します。
「うちのデザイン、真似されてる?」
SNSで人気が出たオリジナルのお弁当。
気づけば他店で、よく似たパッケージ・ネーミング・盛り付けが…。
「なんとなく似ている」だけでは、法律違反とは言えません。
でも、状況によっては「知的財産」として守れる可能性もあるのです。
意匠権って何? ― 登録すれば“見た目”を守れる
意匠権(いしょうけん)は、デザイン(形や模様など)に独占的な権利を与える制度です。
たとえば、以下のようなものが対象になります:
- お弁当容器+ロゴの組み合わせ
- パッケージの色・形状・柄のデザイン
- ショップ袋やのれん・看板など店舗演出
✅ 意匠登録されていた実例
特許庁の意匠公報には、以下のような登録例があります:
- 弁当容器(立体+模様):登録第1721597号
- 菓子パッケージ(紙箱・リボン):登録第1669400号
- 店舗の外観(看板+配置):複数登録例あり
登録には「新規性」や「創作性」が求められますが、構成や色使いに特徴があれば、登録できる可能性があります。
登録がなくても守れる場合がある ― 不正競争防止法
意匠登録がなくても、一定の条件下では不正競争防止法により保護されることがあります。
中でもポイントとなるのが「周知性(しゅうちせい)」――
つまり、「そのデザインが、一般の消費者に広く知られているかどうか」です。
✅ 実際に争われた裁判例:老舗和菓子店 vs 競合店(包装デザイン類似事件)
📦 事案の概要
ある老舗和菓子店が、長年にわたり使用してきたどら焼きの包み紙と非常によく似たパッケージが、競合店で使われていることに気づきました。
競合のパッケージは、
- 色合い
- 書体
- デザイン配置
- 和紙のような質感まで
非常に似ており、実際に「老舗のものと誤解された」という声もありました。
⚖ 争点と判断
この事例で問われたのは、「消費者が誤認する可能性があるか」と、「老舗店のパッケージに周知性があるか」という点です。
裁判所は、以下の事情をもとに周知性のある表示と認定しました:
- 長年の使用実績
- 広範囲での販売(観光地・百貨店など)
- メディア掲載や紹介実績
- 特有の書体や図柄の使用
その結果、不正競争防止法第2条1項1号に該当し、被告には使用差止と損害賠償が命じられました。
「周知性」はどう判断される? ― 業種・地域・期間で異なるポイント
この「周知性」は、業種や商圏の規模によって判断基準が異なるため、一律のルールがあるわけではありません。
地域密着型でも認められることがある
- 飲食店や和菓子店など、小規模であっても「地域で知られている」ことが大事
つまり、お店の名前を聞いて誰もが周知(知って)している事が大事です! - 地元メディア、商店街の活動、口コミなども評価対象になります
短期間でもSNSで一気に有名になればOKなケースも
- 爆発的ヒット商品なら、全国的知名度が短期間で得られることも
- SNS投稿の拡散やテレビ紹介が“周知性”につながることもあります
長年続けていれば良い…とは限らない
- 継続年数が長くても、露出や認知が弱いと保護されないこともあります
- 一方、販売規模が小さくても「ローカルでの圧倒的な認知」があれば認められる場合も
✅ 周知性を裏付ける“証拠”が大切!
📌 周知性の立証に役立つ証拠 | 具体例 |
---|---|
使用開始日・経緯の記録 | 初期のチラシ、納品書、広告内容 |
メディア・広告実績 | SNS投稿、新聞記事、取材動画など |
顧客の認識を示すもの | レビュー、アンケート、口コミなど |
実績データ | 売上、販売エリア、出店履歴など |
「周知性は難しい」と言われますが、だからこそ日々の記録や積み重ねが“守り”になります。
このように、不正競争防止法は「登録がなくても」実際の信用やブランドを守る手段になります。
ただし、守られるためには“証拠”が必要不可欠です。
いざというときに慌てないよう、ぜひ日頃から意識しておきましょう。
💬ひとこと
店舗や商品パッケージの「見た目」は、顧客との大切な接点であり、信頼を積み重ねる武器になります。
「真似された!」と困る前に、守る準備をしておくことが大切です。
まとめ
- 意匠権は「形・デザイン」を守る強力な制度
- 登録がなくても、不正競争防止法で保護されることも
- 実績や証拠、契約でしっかり守ることが将来の安心につながる
HACCPで守る日常。知財で守る未来。
― ともに考え、ともに進む。法制度で支える“食の伴走者”。
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・第1回:O-157がきっかけだった ― HACCPとの出会い!
・第2回:味だけじゃない“見えない価値”も守る― 小さなお店が知っておきたい知的財産リスクとは?
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