🌱知財シリーズ第2回 「名前」や「ロゴ」にも知的財産があるって本当? 〜商標のお話〜

こんにちは!
当事務所では、個人事業主や小規模事業者の皆さまの知財(知的財産)に関するお悩みをサポートしています。私自身も日々勉強を続けながら、「ちょっと難しいけれど、全然できなくもない!」を合言葉に、皆さんと一緒に学んでいけるブログを目指しています。

前回は、知的財産全体の地図をざっくりご紹介しました。
👉第1回:「著作権だけじゃない!」~知財って、実はあなたのすぐそばにある~

今回は、その中でも比較的よく耳にする「商標(しょうひょう)」についてのお話です。


「商標」とは?

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。

たとえば…

商品名:「ポカリスエット」「カップヌードル」

サービス名:「スターバックス」「ドコモ」

ロゴ:Appleのリンゴマーク、Nikeのスウッシュ

などが、すべて「商標」に該当します。

商標を登録しておくと、他人が同じ名前や紛らわしい名前を勝手に使うことを 禁止 できるという、非常に強い「権利」が発生します。

商標には、文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたもの、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標などがあります。


登録するとどうなるの?

商標は登録しなくても使うことはできますが、登録すると法的な保護が受けられます。
つまり、「これは自分のブランドだ」と国が認めてくれるのです。

登録のメリットとして、たとえば次のようなものがあります。

  • 他人に勝手に使われないように防げる
  • 模倣品や偽物への対処がしやすくなる
  • 海外展開の際にも権利を主張しやすくなる
  • 企業価値として評価されやすくなる

商標登録をしていなかったら…

「昔から使っているから大丈夫」と思っていたら、先に他人に登録されて使えなくなることもあります。
実際に、海外展開の際に自社ブランドがすでに商標登録されていたケースもあります。

また、商標登録されていないと、トラブル時に主張が通りにくくなることもあります。


注意点①:一般名になっていないか?

商標登録されていても、商品名が一般名称化してしまうと、権利の維持が難しくなります。
たとえば「ホッチキス」や「エスカレーター」は、もともとは商標でしたが、一般名として定着しすぎてしまった例です。

登録後も、パンフレットやサイトに「○○は当社の登録商標です」「○○®」などの表示を入れることが大切です。


注意点②:他人の権利を侵害していないか?

知らずに他人の登録商標と似た名前を使っていると、使用差止めや損害賠償請求の対象になることがあります。
出願前には、特許庁の「J-PlatPat」などで類似商標の検索をするのが安心です。登録するとどうなる?

商標は、登録しなくても一定の保護は受けられますが、登録することで強力な独占権が生まれます。

登録商標には「Ⓡ(Registered)」や「™」といったマークをつけることができ、第三者による模倣や使用をやめさせる法的根拠にもなります。


でも「商標」って、企業だけのもの?

実はそんなことはありません!

✔ フリーランスで活動する人が、自分の屋号やサービス名を守りたいとき
✔ 個人がオリジナルのブランドで商品販売を始めたいとき
✔ 地域の団体・イベントの名前を将来も大切に使いたいとき

こんなときにも「商標」は大きな力になります。


商標登録のメリット

  1. ネーミングを守れる!
     長く使ってきた名前を他人に使われると悔しいですよね。商標登録があれば、正式に「自分のもの」と主張できます。
  2. 信用を守れる!
     第三者が似た名前で粗悪品を出したら、自分の信用にもかかわります。商標があると防げる可能性が高まります。
  3. ビジネスの“資産”になる!
     商標権は「無形資産」として譲渡・ライセンスが可能です。ブランド力がそのまま価値になるのです。

登録するにはどうすればいいの?

日本では「特許庁」に出願します。登録にはいくつかの費用がかかりますが、申請はネットでも可能です。

以下は一般的な費用の目安です(2025年7月時点):

📌 商標登録にかかる主な費用(特許庁)

区分内容金額
出願料1区分の場合3,400円+(8,600円×区分数)
登録料(10年分一括)1区分32,900円
登録料(分納)※5年×2回1区分各17,200円
更新登録料(10年)1区分43,600円(分納なら22,800円×2回)

※上記は特許庁に支払う費用であり、別途、専門家(弁理士・行政書士等)に依頼する場合は費用が発生します。
※最新の料金は特許庁公式サイトをご確認ください。


✅「区分」ってなに?

商標は「どんな商品・サービスに使うか」によって料金が変わります。
この分類のことを「区分」と言い、全部で45あります(第1類〜第34類:商品/第35類〜第45類:サービス)。

たとえば…

  • 洋服に使う場合は第25類(衣類)
  • ネットショップの運営名なら第35類(広告・販売)
  • 教室や講座名に使うなら第41類(教育・娯楽)

自分の使い方に合った区分を選ぶ必要があります。


気をつけたいポイント

  • 一般的な言葉は商標登録できません(例:「パン屋」や「スマホ」など)。
  • ✅ 他人がすでに使っている商標と同じ/似ているものは登録できない可能性があります。
  • ✅ 登録後も、何年も使っていないと取消されることがあります。
  • ✅ 世の中に広く浸透しすぎて「普通名称化」すると、権利が弱まる場合があります(例:エスカレーター、ホッチキスなど)。

海外進出や模倣対策にも!

近年では、国内より先に海外で商標を先取りされるケースも。
特にアジア圏では「模倣」「便乗」も少なくありません。

「まだそこまでは…」と思っていても、早めの備えが安心につながります。


最後に|知財って意外と身近で面白い!

知財の話って、ちょっと難しそうだったり、答えがすぐに出ないこともよくあります。
でも、だからこそ、私も学びながら、こうして少しずつでも伝えていけたらと思っています。

「知財って意外と身近で面白い」
そんな気づきが、皆さんの活動や未来を守る第一歩になるかもしれません。

どのくらいの方に届いているのかはわかりませんが、
「へえ、知らなかった!」「ちょっと役に立ったかも」と思ってもらえたら本当にうれしいです。

また気が向いたときに、のぞいていただけたら嬉しいです。
私もまだまだ勉強中ではありますが、「知らなかった」で困る方を少しでも減らせるよう、
これからも知財のことを、できるだけわかりやすく発信していきます。

知財をもっと身近に。もっと味方に。

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🔗関連リンク

👉特許庁/商標
👉特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)


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