【著作権の基礎シリーズ:第4回】家でDVDを見るのはOK?上映会は?
今回は、文化庁公表の著作権Q&Aを参考にしながら、上映権の基本と、よくある誤解ポイントをやさしく整理します。
目次
著作権と「上映権」って何?
著作権は、著作物を創作した人(著作者)が、作品の利用方法をコントロールできる権利です。利用の場面に応じてさまざまな権利があります。
その中の上映権は、公衆(不特定または特定多数)に対して、著作物を上映(映写や画面への再生など)して見せることをコントロールする権利です(第22条の2)。
家族でCD・DVDを楽しむのはOK?
結論:家族(特定少数)で鑑賞する限り、著作権者の了解は不要とされています。
上映権や演奏権が問題になるのは、基本的に公衆(不特定または特定多数)に向けた場合です。家族のような特定少数での鑑賞は、ここに該当しません。
※なお、実演家等の著作隣接権者には、上映権や演奏権は付与されていないと整理されています。
自宅で家族に見せるのは「公の上映」?
上映権が働くためには「公の上映」に該当する必要があります(第22条の2)。
「公の上映」とは、公衆(不特定及び特定多数)に直接見せるために行われることが必要で、家族などの特定少数に見せる場合は該当しません。
公共施設の無料上映会は大丈夫?(第38条1項)
公共施設での上映会でも、次の要件をすべて満たす場合、著作権者の了解なしに上演・演奏・上映等ができるとされています(第38条第1項)。
- 営利を目的としない
- 観衆(聴衆)から料金を受けない
- 出演者等に報酬を支払わない
ただし近年は、公共施設でも映画館に近い設備を備える例があり、話題作の無料上映が映画産業・映像ビジネスへ与える影響を懸念する意見もあるため、開催にあたっては慎重な配慮が望ましいとされています。
※映像ソフトメーカーが「業務用ビデオソフト」を用意している場合もあるため、必要に応じて確認するとよい、という整理も示されています。
入場料があるイベント内上映はどうなる?
上映会そのものは無料でも、催し物に入場料がある場合、上映がイベントの一部として組み込まれていれば、一般的に著作権者の了解が必要と整理されています。
第38条第1項の「料金」とは、著作物の提示・提供の見返りとして受ける対価を意味するとされ、入場料の一部に対価性が認められると、例外の適用は難しくなります。
映画の中の音楽は「演奏」?「上映」?
映画の上映に伴って固定された音(音楽等)を再生することは、一般に音楽の演奏ではなく「上映」に該当すると整理されています(第2条第1項第17号)。
スクリーン上映とTV再生、どちらも上映?
どちらも映画の著作物の上映に該当します。
「上映」とは、映写幕その他の物に映写することをいい、動画・静止画は問いません(第2条第1項第17号)。そのため、スクリーンへの映写だけでなく、TV画面での再生も上映となります。
観客ゼロでも上映権は働く?
一般に、上映権が働く行為に該当します。
公の上映に該当するためには、公衆に見せる目的があることが重要で、実際に観客がいるかどうかは関係しないと整理されています。映画館が営業していて、たまたま観客がいなかった場合でも、上映は通常「公の上映」と評価されます。
💡よくある誤解ミニコーナー(ここ、間違えやすい!)
「保育園での上映はどうなるの?」
園児・保護者向けの行事などで、非営利・無料・出演者等への無報酬といった要件を満たす場合は、第38条第1項の枠組みで整理できる可能性があります。
一方、一般参加が可能で実質的に人数が大きい場合や、参加費・入場料に上映の対価性がある場合は注意が必要です(「公衆」「料金」の評価がポイント)。
「自治会の集まりは“特定少数”?」
自治会・町内会は、構成員が一定に見えても人数が多かったり加入・脱退が自由だったりするため、著作権法上は「特定多数(=公衆)」と評価される可能性があります。
「顔見知りだから大丈夫」とは限らない点に注意しましょう。
「YouTubeの動画を流すのは?」
無料で視聴できる動画でも、店舗・会場・集会等で流す場合、公衆向けの上映やサービスの利用規約の問題が生じる可能性があります。
「無料=自由に使える」ではない、という点は特に誤解が多いポイントです。
まとめ:判断のカギは「公衆」か「特定少数」か
上映権で迷ったときの基本は、次の2点です。
- 相手が「公衆(不特定または特定多数)」か、「特定少数」か
- 料金(対価性)があるか(イベント入場料など)
この視点を持つだけで、家庭内の鑑賞と、上映会・イベントでの上映の違いが整理しやすくなります。
後書き(次回予告)
次回は、ホームページ・SNS・YouTubeなど、インターネットと著作権の関係で特に誤解の多い「公衆送信権」について解説します。
「ネットに載せただけ」「無料で見られる動画だから」——そんな思い込みが、思わぬトラブルにつながることもあります。
「知らなかった」で困らないために、次回も身近な事例を交えながら、一つずつ分かりやすく整理していきましょう。
※本記事は、文化庁公表の著作権Q&Aを参考に、一般の方向けに分かりやすく整理したものです。個別具体的な事案は、事実関係により結論が異なる場合があります。
関連記事・参考リンク
▶ 過去の「著作権の基礎シリーズ」
▶ 参考(外部リンク)
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