【著作権の基礎シリーズ:第3回】上演権・演奏権とは?身近な例でやさしく解説
著作権の中でも「上演権」と「演奏権」は、学校行事・地域イベント・カラオケ・店内BGMなど、意外と身近な場面で関わります。
今回は、「公に(公衆)」の考え方と、許諾が必要/不要の分かれ目について、文化庁が公表している著作権Q&A等を参考にしながら、一般の方向けに身近な具体例を交えてやさしく整理します。
目次(クリックで移動)
1.上演権・演奏権とは?
著作権には、著作物を「どう使うか」に応じてさまざまな権利があります。そのうち、舞台や音楽に関係するのが上演権と演奏権です。
● 上演権
脚本などを「演じる」権利です。演劇、朗読、芝居などが対象になります。
● 演奏権
音楽を「公に演奏」する権利です。ここでいう「演奏」には、生演奏だけでなく、録音物の再生(CD・音源を流すこと)も含まれます。
2.「公に」ってどういう意味?
上演権・演奏権で一番大切なのが、「公に(公衆に向けて)」という考え方です。
- 不特定多数(誰でも参加できる)
- 特定多数(会員制・所属者などでも人数が多い)
このような場合は「公」とみなされます。
一方で、
- 家族
- ごく親しい友人
など、特定かつ少人数なら「公」には当たりません。ここが、許諾が必要かどうかの分かれ目です。
3.よくあるケース10選(許諾が要る/要らない)
ポイント:「公の場か」「営利か」「料金を取るか」「出演者に報酬があるか」で結論が変わります。
① 家族でCDやDVDを楽しむ → 許諾不要
家族は「特定少数」なので、公の演奏・上映に当たりません。
② 家族の前でギター演奏 → 許諾不要
演奏には当たりますが、「公」ではないため演奏権は働きません。
③ 文化祭で脚本を上演 → 原則OK(条件あり)
学校の文化祭などで非営利・無料・無報酬なら、許諾不要となる場合があります。
ただし、脚本を無断で書き換えると、同一性保持権(著作者人格権)の問題が生じるため注意が必要です。
④ 学校行事で市販CDを流す → 一般的にOK(条件あり)
CDの再生も「演奏」に含まれますが、非営利・無料・無報酬なら許諾不要となる場合があります。
⑤ 学校の館内放送 → 「公衆送信」ではなく「演奏」扱い
同一建物内での有線放送は、公衆送信に当たらないと整理され、著作権法上は「演奏」と扱われます。
⑥ スナックのカラオケ → 許諾が必要(店側)
店が設備を設置して客に歌わせる行為は、法的には店(経営者)が演奏していると評価され、許諾が必要とされます。
⑦ 百貨店の無料コンサート → 許諾が必要になりやすい
無料でも、販売促進の一環など営利性があると判断されると、許諾が必要になることがあります。
⑧ 映画上映で流れる音楽 → 「演奏」ではなく「上映」
映画に固定された音の再生は、演奏ではなく上映として扱われます。
⑨ 本の朗読/朗読CDの再生 → いずれも「口述」
読み上げも録音の再生も、著作権法上は「口述」に整理されます。
⑩ カラオケ装置のリース業者 → 事案によって責任が問われうる
判例上、リース業者にも、使用許諾契約の確認等について注意義務があるとされたケースがあります。
4.OK/NGを分ける5つのチェックポイント
- 公の場かどうか(不特定多数 or 特定多数か)
- 営利性があるか(販促・集客・営業の一環か)
- 料金を取るか(入場料・参加費など)
- 報酬があるか(出演者・演奏者への支払い)
- 改変していないか(脚本の書き換え等)
この5点を押さえると、トラブルを避けやすくなります。
5.トラブルを避けるコツ(誤解しやすい点)
- 「無料なら大丈夫」は誤解になりやすい(販促イベントは要注意)
- 学校行事は比較的自由でも、改変は別問題になりやすい
- 音楽利用は管理団体(JASRAC等)の仕組みを把握すると安心
ワンポイント:「誰に向けて(公衆)」「お金が動くか(営利)」の2点を先に確認すると、判断が速くなります。
6.まとめ
- 上演権・演奏権は、学校行事やイベント、カラオケなど身近な場面に関わる
- カギは「公に」(不特定多数/特定多数)
- 非営利・無料・無報酬なら許諾不要となる場面がある
- 録音物の再生(CDを流す)も「演奏」に含まれる
「これって許諾が必要?」と迷ったら、状況(場所・人数・料金・報酬・目的)を整理すると判断しやすくなります。必要があれば、個別ケースに合わせて一緒に確認もできます。
過去の記事・参考リンク
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