所有不動産記録証明制度|必要書類と請求書の書き方の注意点をやさしく解説
相続・終活で迷わないために|初めてでも安心の実務ポイント整理
前回の記事では、2026年2月2日スタートの「所有不動産記録証明制度(不動産記録証明制度)」について、制度の概要を整理しました。
今回はその続きとして、実際に請求するときに必要な書類や、つまずきやすい注意点を、初心者の方でも読み進められるようにやさしくまとめます。
目次
手続の流れ(請求→検索→交付)
手続は、次の3ステップです。
- ① 請求:法務局(登記所)に申請します(書面/オンライン)。
- ② 検索:請求書に書いた氏名・住所などの条件をもとに検索されます。
- ③ 交付:対象不動産が一覧になった「所有不動産記録証明書」が交付されます。
補足:交付までに要する日数は登記所ごとに異なります。制度開始当初は混雑が予想され、交付まで2週間程度かかる場合もあるとされています。
① 請求:請求できる人/請求方法
1)請求できる人
請求できるのは、次の方です(法人も含みます)。
- 所有権の登記名義人(本人)
- 相続人その他の一般承継人
※ 代理人による請求も可能です。
2)請求方法
請求は、すべての法務局・地方法務局(支局・出張所を含む。以下「登記所」)で可能です。
- 書面請求(窓口提出/郵送)
- オンライン請求
オンライン請求の注意:オンラインで請求する場合は、必要書類もすべてオンラインで提供する必要があります。
必要書類(立場別にやさしく整理)
必要書類は、「誰が請求するか」で変わります。ここは迷いやすいので、順番に整理します。
(1)登記名義人(本人)が請求する場合
次のどちらか一方が必要です。
- 印鑑証明書(発行期限なし)+請求書に実印押印
- 本人確認書類の写し(例:マイナンバーカード、運転免許証など)
書面請求の場合:本人確認書類の写しを添付する場合、窓口では原本提示も必要とされています。
【必要となる場合がある書類】
- 過去の氏名や住所で検索したい場合:それが分かる書類(例:戸除籍謄本、住民票の写し、戸籍の附票の写し など)
(2)相続人その他の一般承継人が請求する場合
上記(1)に加えて、「相続関係・承継関係が分かる書類」が必要です。
- 例:戸籍謄本、法定相続情報一覧図の写し、会社法人等番号(法人の場合)など
ここが少しラクになるポイント:法定相続情報番号や、戸籍・除籍の電子証明書の提供用識別符号を利用できる場合は、上の「相続関係・承継関係が分かる書類」を提出に代えられることがあります。
※ 次は少し聞き慣れない言葉が出てきますが、「使えたら手続が少しラクになる仕組み」の説明です。
分からない場合は読み飛ばしても大丈夫です。
補足:法定相続情報番号や「識別符号」ってなに?
「法定相続情報番号」や「戸籍・除籍の電子証明書の提供用識別符号」は、
戸籍謄本などの書類を何通も提出しなくて済むようにするための番号です。
すでに法務局で法定相続情報一覧図を作成したことがある方は、
そのときに発行された番号を使うことで、
相続関係が分かる書類の提出を省略できる場合があります。
なお、これらの番号や識別符号を利用できない場合でも問題ありません。
これまでどおり、戸籍謄本などの書面を提出すれば手続は進められます。
続いて、必要となる場合がある書類です。
- 被相続人(亡くなった方)等の過去の氏名や住所で検索したい場合:それが分かる書類(例:除籍謄本、除かれた戸籍の附票の写し など)
(3)代理人が請求する場合
上記に加えて、次が必要です。
- 委任状(請求人の実印を押印)
- 請求人の印鑑証明書(委任状に添付)
書類提出に関する注意点(やさしいまとめ)
- 原則、原本提出が必要です。
- ただし、印鑑証明書と委任状以外は、一定の条件で原本を返してもらえる扱いがあります(原本+コピー提出など)。
- 添付書類に不足があると、追加(補完)が必要になります。期限内に補完できない場合、交付されないことがあります。
手数料(計算例つき)
手数料は、「検索条件1件」×「請求通数」で決まります。
- 書面請求(収入印紙):1,600円
- オンライン請求:郵送交付 1,500円/窓口交付 1,470円
手数料は、
「どの条件で不動産を探すか」ごとにかかります。
ここでいう「検索条件」とは、
次のような「探し方の単位」を指します。
- 現在の氏名・住所で探す → 1件
- 旧姓や過去の住所で探す → それぞれ1件ずつ
よくあるつまずき・注意点
- 氏名・住所のズレ:登記簿の記載と違うと、抽出されないことがあります(旧姓・旧住所に注意)。
- 結果が出なくても返金なし:該当がない場合でも手数料は戻らない扱いです。
- オンライン請求は添付もオンライン:書類提出の方法が違うので、最初に確認すると安心です。
- 書類が足りないと追加対応が必要:不足があると補完が求められ、期限内に補完できないと交付されない場合があります。
相続・終活での使いどころ
この制度は、相続後の確認だけでなく、生前の不動産整理(終活)にも使えます。
- 「うちの不動産、これで全部かな?」の確認
- 相続が発生した後の、名義の棚卸し
- 相続登記に進む前の、見落としチェック
困ったときの相談先
制度や手続の流れは、ある程度ご自身で確認できるようになっていますが、
- 書類の集め方がよく分からない
- このケースで使えるのか迷う
- 本当に全部の不動産が出てきているのか不安
そんなときは、無理に一人で抱え込まず、専門家に相談するという選択肢があることも知っておいてください。
まとめ
- 請求は「①請求→②検索→③交付」の3ステップ
- 必要書類は「本人/相続人/代理人」で変わる
- 氏名・住所のズレや添付書類の不足が、つまずきやすいポイント
制度を上手に使いながら、相続や終活の不動産整理を進めていきましょう。
所有不動産記録証明制度は、相続や終活の場面で、
不動産の見落としを防ぐためのとても心強い仕組みです。
これまでのように、土地や建物ごとに調べる必要がなく、
一定の条件をもとに、不動産を一覧で確認できる点は
大きなメリットといえるでしょう。
一方で、
※ この制度はとても便利ですが、すべての不動産が必ず一覧で確認できる仕組みではありません。
詳しくは、概要編で整理した内容もあわせて参考にしてみてください。
相続や終活では、この制度を「確認の出発点」として活用し、
相続登記や他の手続とあわせて進めていくことが大切です。
制度の特徴を正しく理解した上で、
ご自身の状況に合った形で上手に活用していきましょう。
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