忘れられた不動産をつくらないために― 家族で話す前に、自分の不動産を把握する ―

R8年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度
なんとなくシリーズのような形で、この制度や関連する話題についてお伝えしてきました。

今回は完結編として、忘れられた不動産にしないためのポイントについてお話ししたいと思います。

よく、終活や相続の場面では「家族で話し合っておくことが大切」と言われます。
もちろん、それはとても大切なことです。

でも、その前に、もう一つ大切なことがあります。

それは、「家族と話す前に、自分の不動産を把握しておくこと」です。

目次

なぜ自分の不動産を把握しておく必要があるのでしょうか

これまでのシリーズでも触れてきましたが、忘れられた不動産は、特別な事情があるご家庭だけで起こる問題ではありません。

遠方の山林や原野、長年使われていない土地などは、日常生活の中で話題に上ることも少なく、相続の際になって初めてその存在を知るというケースもあります。

また、相続手続きが途中で止まっていたり、名義が祖父母やさらに前の世代のままになっている不動産が残っていることもあります。

こうした不動産が放置されたままになると、相続人が増え、将来、誰も手を付けられない不動産になってしまう可能性があります。

なお、令和6年4月からは、相続登記の申請が義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する必要があります。
また、相続開始から10年を経過すると、原則として法定相続分による登記が可能になる制度も設けられました。

こうした制度の整備により、これまで長期間放置されてきた不動産についても、整理が進むことが期待されています。
その結果、所有不動産記録証明制度も、より活用しやすい制度になっていくことが期待されています。

そのため、まずは自分がどのような不動産を持っているのかを把握しておくことが大切になります。

見落とされやすい不動産もあります

不動産というと、住宅や土地のような分かりやすいものを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、見落とされやすい不動産もあります。

例えば、相続の勉強をしていた際に先生から「公衆用道路は見落とされやすいので注意するように」と言われたことが印象に残っています。

自宅の前の道路や私道の持分などが、知らないうちに自分の名義になっていることもあります。

また、マンションの場合には、敷地や共有部分の持分が登記されていることもあり、普段あまり意識していない不動産が含まれている場合もあります。

このような不動産は、日常生活の中で話題になることが少ないため、自分でも気づかないままになっていることがあります。

だからこそ、固定資産税の通知や名寄帳、そして所有不動産記録証明書などを活用して、一度整理してみることが大切です。

不動産を確認する方法

では、自分の不動産はどのように確認すればよいのでしょうか。
いくつかの方法があります。

固定資産税納税通知書を確認する

毎年届く固定資産税の納税通知書を見ることで、所有している土地や建物の一部を確認することができます。

また、宛名が「○○ 他○名」となっている場合には、共有不動産や未整理の相続不動産が含まれている可能性があります。

ただし、固定資産税がかかっていない土地などは、納税通知書には記載されない場合もあります。

(実体験)
実は、私自身の家でも似たような経験があります。
固定資産税の納税通知書の宛名が、長い間「○○ 他○名」となっていました。

意味は理解していたものの、土地の名義変更が行われていたこともあり、建物の登記も整理されているものだと思い込んでいました。

ところが気になって、その不動産を管轄する市役所で名寄帳を取得してみたところ、表題登記だけがされている建物が2棟あることが分かりました。

そのうちの1棟は固定資産税が課税されておらず、もし通知書をきっかけに確認していなければ、そのまま気づかないままになっていた可能性もあります。

このように、自分では把握しているつもりでも、実際には整理されていない不動産が残っていることがあります。

名寄帳を取得する

市町村では、名寄帳と呼ばれる資料を取得することで、その自治体にある自分名義の土地や建物を確認することができます。

固定資産税の課税対象となっている不動産をまとめて確認することができるため、不動産を整理する際の参考になります。

所有不動産記録証明書を利用する

新しく始まった所有不動産記録証明制度では、全国の登記された不動産について、自分名義の不動産を確認することができます。

ただし、この制度は登記されている不動産が対象となるため、相続登記がされていない不動産などは表示されない場合があります。

そのため、これらの方法を組み合わせて確認することが大切です。

家族で共有しておくことが大切です

自分が所有している不動産を把握できたら、その情報を家族と共有しておくことも大切です。

どこにどのような不動産があるのかを家族が知っておくことで、将来の相続手続きもスムーズに進めやすくなります。

忘れられた不動産は、「知らなかった」「そのうち確認しようと思っていた」といった小さなことの積み重ねから生まれてしまうことがあります。

管理制度が必要になるような状況になる前に、一度、自分の不動産を整理してみることも大切です。

相続や将来のことを考えるきっかけとして、まずは自分の不動産を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

所有不動産記録証明制度から続いたシリーズは 今回で完結しますが、
次回より空き家問題について取り上げる予定です。

📚 過去ブログ(シリーズ一覧)

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