原油高騰で考えた「人工石油」―合成燃料と藻類燃料から見える「次世代エネルギー」の可能性

最近、イラン情勢の緊張を背景に、ホルムズ海峡の航行リスクが高まっていると報じられています。

原油価格の上昇や株価の下落、ドル高円安など、市場も大きく動揺しています。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要所であり、代替ルートを最大限活用しても、供給不足の解消にはつながらないとも言われています。

そんなイラン情勢を気にしながらテレビを観ていたとき、人工ダイヤモンドの特集が目に入りました。

そのとき、ふとこんな疑問が浮かびました。

「人工ダイヤモンドはつくれるのに、人工の石油はつくれないのだろうか?」

地球は何億年もの時間をかけて地中で石油を生み出してきました。

しかし、現代の科学技術でも同じような燃料を作ることはできないのでしょうか。
調べてみると、実は「人工ガソリン」とも言える合成燃料の研究が進んでおり、大阪・関西万博ではシャトルバスへの活用など、実用化への期待が高まっていることを知りました。

目次

人工ガソリンはすでに研究されている

石油を人工的に作る研究は、実は以前から進められています。

現在注目されているのが、合成燃料(e-fuel)と呼ばれる技術です。

これは

  • 水を電気分解して水素を作る
  • 回収したCO₂と合成する

ことで、ガソリンや軽油とほぼ同じ性質の燃料を作る技術です。

この合成燃料は、大阪・関西万博でもシャトルバスの燃料として使用されるなど、実用化への期待が高まっていました。

ENEOSが進めていた合成燃料プラント計画

日本ではENEOSが、合成燃料の製造プラントの建設を計画していました。

将来的には1日1万バレル規模の生産を目指す構想もあり、「人工ガソリン」の実用化に向けた大きな挑戦として注目されていました。

合成燃料の製造には、フィッシャー・トロプシュ(FT)合成と呼ばれる技術などが使われます。

これは、水素と一酸化炭素などから液体燃料を合成する技術で、人工的に石油に近い燃料を作ることが可能になります。

合成燃料プラント計画の延期が明らかに

しかし、2025年10月9日に開催された「第31回エネルギー構造転換分野ワーキンググループ」で、ENEOSは合成燃料のパイロットプラント建設を無期延期する方針を明らかにしました。

延期の理由として挙げられたのは、

  • 建設コストの大幅な上昇
  • エネルギー価格の上昇
  • 再生可能エネルギーを起点とする合成燃料の製造コストの増加

などです。

合成燃料は技術的には実現可能ですが、燃料を作るために大量のエネルギーが必要になるという課題があります。

その結果、想定していたよりもコストが大きく上振れする見込みとなりました。

方針転換:バイオ系燃料を優先

こうした状況を踏まえ、ENEOSは再生可能エネルギー由来の合成燃料よりも、バイオマスを起点とした燃料の実装を優先するという方針を示しました。

バイオ系燃料は、

  • 植物
  • 廃油
  • 微生物

などを原料とするため、合成燃料よりも比較的現実的なコストでの実用化が期待されています。

藻類から燃料を作る研究

合成燃料と藻類燃料の研究イメージ(Synthetic Fuel と Algae Biofuel)

調べていく中で、もう一つ興味深い研究を見つけました。

それが、藻類(そうるい)から燃料を作る技術です。

藻類は光合成によってCO₂を吸収しながら成長し、体内に油分を蓄える性質があります。

この油分を取り出して燃料として利用する研究が進められており、大学や研究機関でもさまざまな技術開発が行われています。

中には、藻類を生かしたまま油を取り出し、繰り返し利用する技術も研究されています。

もし実用化されれば、

  • CO₂削減
  • 再生可能燃料
  • 持続可能なエネルギー

という面で、大きな可能性を持つ技術といわれています。

人工石油は作れるのか

今回調べてみて分かったのは、人工石油は技術的には作ることができるということでした。

しかし問題は、コストとエネルギーです。

石油は、地球が何億年という時間をかけて作り上げた資源です。

それを人間が人工的に作ろうとすると、どうしても大きなエネルギーとコストが必要になります。

こうして見てみると、「人工石油」はすでに研究されている技術であり、決して夢物語ではないことが分かります。

まとめ

最初は「人工ダイヤモンドが作れるなら、石油も作れるのでは?」という素朴な疑問でした。

しかし調べてみると、

  • 合成燃料の研究
  • エネルギーコストの課題
  • バイオ燃料への方向転換
  • 藻類燃料の可能性

など、さまざまな技術が関係していることが分かりました。

ニュースをきっかけに調べてみると、エネルギー技術の新しい挑戦が続いていることを知ることができました。

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